日本映画レビュー
2017年に初監督作『あみこ』で第39回ぴあフィルムフェスティバルに選出されPFFアワード観客賞を受賞、第68回ベルリン国際映画祭フォーラム部門に史上最年少で招待されるなど国内外で高く評価された山中瑶子監督。 その後もオムニバス映画『21世紀の女の子』(…
成瀬巳喜男監督が、『めし』(1951)、『稲妻』(1952)、『妻』(1953)、『晩菊』(1954)と立て続けに映画化を成功させた林芙美子の同名小説を『山の音』(1954)、『驟雨』(1956)などの作品で成瀬監督とタッグを組んだ脚本家水木洋子が脚色。 映画『浮雲』…
『CURE キュア』(1997)、『回路』(2001)、『ドッペルゲンガー』(2003)などオリジナルの作品を送り出しJホラーに多大な貢献を果たして来た黒沢清監督。 映画『Chime』は、料理教室の講師として働く男に起こる超然とした恐怖を描き、観る者を悪夢の世界へ引き…
映画『乱れる』は、NHK BSにて2024年9月5日(木)午後1:00~より放映 戦争で夫を亡くした後も嫁ぎ先に長らく留まり、夫の意志を次いで苦労して酒屋をバラックから今の店に復興させた礼子。しかし時代の変わり目に接し、これからの身の振り方を考えざるをえなく…
『空白』(2021)、『神は見返りを求める』(2022)などの作品で知られる吉田恵輔監督が自身のオリジナル脚本で撮った最新作『ミッシング』は、娘が行方不明になり、出口のない暗闇に突き落とされた家族の姿をリアルに、繊細に描いた問題作だ。 youtu.be 手がか…
濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』(2021)で音楽を担当した音楽家・石橋英子が濱口監督にライブ用映像を依頼したことからスタートしたプロジェクトは、最終的にライブ用サイレント映像『GIFT』と、長編映画『悪は存在しない』を誕生させた。 youtu.be …
生涯に260本余の作品を撮ったマキノ雅弘。多くの傑作を生みだしたそのフィルモグラフィーの中でも、代表作として挙げられることの多い「次郎長三国志」シリーズ。 清水の次郎長、森の石松、追分三五郎に大政、桶屋の鬼吉など、個性たっぷりの次郎長一家が意…
丸の内勤めの杉山(池部良)は、一児を亡くしてから妻・昌子(淡島千景)との関係に隙間風が吹くようになっていた。キンギョという綽名の若い女性(岸恵子)と不倫関係にある彼だったが・・・。 小津安二郎が『東京物語』(1953)に次いで発表した映画『早春』…
2018年に発表した『そして、バトンは渡された』で本屋大賞を受賞するなど、多くの読者の心を掴んでいる小説家、瀬尾まいこの同名小説を、長編映画デビュー作『やくたたず』以来、一作ごとに映画ファンの心をくすぐり続け、『ケイコ 目を澄ませて』(2022)で第…
愛するあまり、恋人を刺し殺そうとした過去を持つ女性が、事件から6年を経て尚、「愛」に囚われ懸命にもがく姿を描いた映画『熱のあとに』。 2019年に起きた新宿ホスト殺人未遂事件から着想を得た作品で、『夜が明けたら、いちばん君に会いに行く』(2023)の…
『急にたどりついてしまう』(1995)で劇場映画監督デビューを果たして以降、詩と映画への冒険的な表現に果敢に挑戦して来た福間健二監督の七作目の作品『きのう生まれたわけじゃない』。ポレポレ東中野でのロングラン上映を終え、いよいよ関西公開がスタート…
映画『火だるま槐多よ』は、22歳で夭逝した天才画家であり詩人の村山槐多(1896 – 1919)の作品に魅せられ取り憑かれた現代の若者たちが、槐多の作品を彼ら独自の解釈で表現し再生させ、時代の突破を試みるパワフルなアヴァンギャルド・エンタテインメントだ…
2023年は小津安二郎監督(1903-1963)の生誕120年、没後60年にあたる記念すべき年だ。Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下りでは「小津安二郎 :モダン・ストーリーズ selected by ル・シネマ」と題した特集上映が組まれ、NHKBSでもこの12月は小津作品がいくつか放…
短編映画『サッドカラー』がPFFアワード2023に入選するなど、国内映画祭で高い評価を受けている新進気鋭の映像作家・髙橋栄一が監督、脚本、編集を務めた映画『ホゾを咬む』。 youtu.be 新宿K’s cinemaの上映を好評のうちに終え、2023年12月15日(金)からは…
2023年は清水宏(1903-66)の生誕120年にあたる。清水宏と小津安二郎は同年生まれで、親友でもあった。小津が生誕120年を記念する特集上映が組まれているのに対して、清水の特集上映が開催されないのは残念至極だが(110年を記念する2013年には大々的な記念…
近年、急速に国際的な再評価が高まっている相米慎二監督。 相米監督が1985年に制作した映画『台風クラブ』の4Kレストア版が、現在、全国の映画館で順次公開されている。 大人と子どもの中間にあたる中学生という年頃特有の不安定な感情の爆発を、台風の到来…
⻄村まさ彦 主演の映画『[窓] MADO』が、2023 年12⽉2⽇(土)より第七芸術劇場、2024年に元町映画館にて上映される(上映日が決まり次第追記します)。12月2日(土)、12月3日(日)には、西村まさ彦、大島葉子、麻王監督の舞台挨拶が予定されている(詳しくは劇場H…
※アフィリエイトプログラムを利用しています(Amazonアソシエイト含む) youtu.be 2023年は小津安二郎監督(1903-1963)の生誕120年、没後60年にあたる記念すべき年だ。第36回東京国際映画祭(TIFF)では近年デジタル修復された作品を中心に特集上映が組まれ…
映画『過去追う者』は、『ポルトの恋人たち 時の記憶』(2018)、『ある職場』(2020)などの作品で知られる舩橋淳監督が、受刑者の採用を支援する実在の就職情報誌の活動にヒントを得て、元受刑者の社会復帰に横たわる問題を描いたドキュ・フィクションだ。 you…
『ダイナマイト・ソウル・バンビ』(2018)、『サーチン・フォー・マイ・フューチャー』(2016)などの作品が国内外の映画祭で高く評価された映像制作チーム・シネマ健康会の松本卓也監督の新作映画『あっちこっち じゃあにー』。 youtu.be お笑いコンビを解散…
2023年は小津安二郎監督(1903-1963)の生誕120年、没後60年にあたる記念すべき年だ。第36回東京国際映画祭(TIFF)でも近年デジタル修復された作品を中心に特集上映が組まれている。 数ある名作群の中から今回は小津の戦後の代表作の一本である『麦秋』を取…
江戸文化の裏の華で“笑い絵”とも言われた春画。その研究者である芳賀一郎は、変わり者として知られていた。彼に偶然出会った弓子は、春画の世界の奥深さにすっかり魅せられ、芳賀に恋心を抱くようになる…。 youtu.be 映画『春画先生』は、塩田明彦が原作・脚…
ジャズミュージシャンでエッセイストの南博の回顧録『白鍵と黒鍵の間に -ジャズピアニスト・エレジー銀座編-』を共同脚本の冨永昌敬監督と高橋知由が大胆にアレンジ。 youtu.be 昭和末期の夜の街・銀座を舞台に、ジャズピアニストを目指してキャバレーでピア…
『ドードーが落下する』で第67回岸田國士戯曲賞に輝いたのを始め、演劇やテレビ脚本でいくつもの受賞歴を誇る劇団た組主宰、わをん企画代表、加藤拓也の二作目の長編映画監督作品『ほつれる』。 youtu.be 夫と冷え切った関係にある綿子は、友人の紹介で知り…
京都文化博物館フィルムシアターで開催されている特集上映「映画の中の少女たち」。その中から、2023年9月27日(水)、30日(土)に上映される1959年大映作品『初春狸御殿』を取り上げたい(上映時間は京文博公式HPでご確認ください)。 『初春狸御殿』は、和…
映画『ピストルライターの撃ち方』は2023年6月17日より渋谷ユーロスペース他にて全国順次公開! www.youtube.com 映画『ピストルライターの撃ち方』は、遠くない未来に、再び原発事故が起こったある地方を舞台に、社会の底辺でもがきながら生きる人々の姿を…
『かもめ食堂』(2005)、『彼らが本気で編むときは、』(2017)の荻上直子が監督・脚本を手がけた映画『波紋』は、日本社会が抱える様々な問題を背景に、誰もが心の中に持つ本音をあぶり出したブラック・ユーモアたっぷりのヒューマンドラマだ。 youtu.be 震災…
映画『ストレージマン』(萬野達郎監督)は2023年5月20日(土)より 池袋シネマ・ロサにて2週間劇場公開! youtu.be コロナ不況のため仕事を解雇された森下は、住む家も家族も失い、トランクルームで息を潜めながら生活をするようになる—。しかしトランクルー…
映画『ハマのドン』は2023年5月5日(金・祝)より新宿ピカデリー、ユーロスペース、なんばパークスシネマ、MOVIX堺 5月6日(土)より第七藝術劇場、5月19日(金)より京都シネマ、5月20日(土)より元町映画館ほかにて全国順次公開! youtu.be カジノ誘致問題に揺…
鈴木清順監督作品『ツィゴイネルワイゼン』の4Kデジタル完全修復版が、鈴木の生誕100年を記念し2023年4月15日より東京・ユーロスペースで公開されている。 『ツィゴイネルワイゼン』(1980)、『陽炎座』(1981)、『夢二』(1991)の三作品は「浪漫三部作」と呼ば…