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映画『ヘッド・オブ・ステイト』(Amazon Prime Video配信)あらすじと評価/アメリカ大統領とイギリス首相がタッグを組むノンストップ・アクションコメディー

犬猿の仲のアメリカ大統領とイギリス首相は、補佐官のアドバイスに従い、結束をアピールするため、共にエアフォースワンに乗ってNATO首脳会談が開かれるイタリアへと向かう。だが旅の途中、何者かに攻撃を受け、墜落。二人も死亡したというニュースが瞬く間に世界を駆け巡るが・・・。

 

『ヘッド・オブ・ステイト』(2025年) は、『Mr.ノーバディー』(2020)、『ハードコア』(2016)などの作品で知られるイリヤ・ナイシュラーが監督を務め、『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』(2011)の共同脚本家として知られるジョシュ・アッペルバウムとアンドレ・ネメック、そしてハリソン・クエリーが脚本を担当した痛快アクションコメディだ。

 

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イギリス首相サム・クラーク役を『ビースト』(2022)などのイドリス・エルバ、アメリカ大統領ウィル・デリンジャー役を『ザ・ボディガード ローグ・ミッション』(2023)、」『スーパーマン』(2025)などのジョン・シナが務め、愉快な掛け合いを展開。

また、ロシアの武器商人グラドフに、『ディープ・カバー 即興潜入捜査』(2025)などのパディ・コンシダイン、MI6の諜報員にボリウッドスターのプリヤンカー・チョープラー・ジョナス、おしゃべりなCIAエージェントにジャック・クエイドが扮している。

 

ちなみにタイトルの「ヘッド・オブ・ステイト」の意味は、「国家元首」 (ただし、イギリスの国家元首は国王チャールズ3世なので、少々、タイトルに間違いあり?)。

 

映画『ヘッド・オブ・ステイト』は、Amazon Prime Videoにて2025年7月2日より配信中。

 

目次

 

映画『ヘッド・オブ・ステイト』作品情報

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2025年製作/116分/アメリカ映画/原題:Heads of State/配信:Amazon Prime Video

監督:イリヤ・ナイシュラー 脚本:ジョシュ・アッペルバウム、アンドレ・ネメック、ハリソン・クエリー 原案:ハリソン・クエリー 製作:ピーター・サフラン、ジョン・リカード 製作総指揮:マーカス・ビシディ、ジョシュ・アッペルバウム、アンドレ・ネメック、ジョン・シナ、イドリス・エルバ 撮影:ベン・デイビス 美術:ナイル・モロニー 衣装:ジャイニー・テマイム 編集:トム・ハリソン=リード 音楽:スティーブン・プライス 音楽監修:シーズン・ケント 視覚効果監修:レイモンド・チェン キャスティング:ジョン・パプシデラ、ソフィー・ホランド

出演:イドリス・エルバ、ジョン・シナ、プリヤンカー・チョープラー・ジョナス、カーラ・グギーノ、ジャック・エイド、スティーブン・ルート、パディ・コンシダイン、サラ・ナイルズ、リチャード・コイル

 

映画『ヘッド・オブ・ステイト』あらすじ

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スペインの有名なトマト祭りが開催され、街が賑わっている中、ひとりの女性がカメラの前に立ち、祭りの模様を熱心に伝えていた。一見、どこかの放送局のレポーターのように見える女性は、実はMI6の諜報員ノエル・ビセットで、MI6とCIAの合同捜査チームは、ロシアの武器商人ヴィクトル・グラドフが現れるという情報を受け、マスコミのふりをして彼を待ち構えていたのだ。

 

ついにグラドフらしき男を発見するが、同じような格好の男が二人いて、どちらがグラドフなのか確認できない。エシュロンというアメリカが開発したデーターシステムにアクセスし、顔認証で判定しようとするが、帽子を深くかぶっているため、判定に時間がかかっていた。

 

そこに突如、銃を持った数人の男女が現れ、合同捜査チームはたちまち攻撃を受け、ノエルを含む全員が死亡。エシュロンのデーターも盗まれてしまう。すべては敵による罠だったのだ。

 

数日後、元ハリウッドのアクション映画スターの合衆国大統領、ウィル・デリンジャーは、イタリアのトリエステで開催されるNATO首脳会談を前にして、英国首相サム・クラークと会談するためロンドンを訪問していた。

 

大統領になったばかりのデリンジャーとは違い、クラークは長年首相をつとめるベテランだ。最近、支持率が低下気味なのが悩みの種のクラークはデリンジャーを俳優あがりの軽薄者と毛嫌いし、デリンジャーはクラークが大統領選で自分のライバルを応援したことを根に持っていた。

 

記者会見でもマウントの取り合いをする二人だったが、世界に両国の結束をアピールするために一緒にイタリアに向かう方が良いと補佐官に諭され、クラークはしぶしぶエアフォースワンに同乗する。

 

ところがそこにはテロリストが紛れ込んでいた。男は次々と関係者をナイフで切りつけ、それと同時に、突然どこからともなく現れた航空機が、エアフォースワンを攻撃。中からも外からも攻撃されたエアフォースワンは操縦不能となった。2人は間一髪パラシュートで脱出したが、世界中にエアフォースワンが墜落し大統領も首相も死亡したいう報道が駆け巡った。

 

ベラルーシの森に着地したデリンジャーは生きていることを家族に知らせようとするが、クラークはそれを阻止し、すぐに情報が敵に筒抜けになってしまうからとスマートフォンを投げ捨てた。

 

ふたりは農家の女性に助けられ、彼女が運転する羊を積んだトラックの荷台に隠れて国境を越え、ワルシャワへと入った。ここにはCIAの隠れ家があるのだ。

 

だが、その隠れ家にもすぐにテロリストたちが現れた。内部に情報を流しているものがいるに違いない。再び、生命を脅かされる二人だったが、そこに颯爽と現れたのはトマト祭りの銃撃戦で死んだと思われていたノエル・ビセットだった。

 

なんとか難を逃れ、3人は列車に乗ってイタリアへと向かうが・・・。

 

映画『ヘッド・オブ・ステイト』感想と評価

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普段は仲が悪くいがみ合っているイギリス首相とアメリカ大統領が、力を合わせてテロリストと闘う物語と聞かされても全然ピンとこなかったのだが、『ヘッド・オブ・ステイト』は劇場公開作品も含む昨今のアクション映画の中でも、かなり出来のいい部類に入るのではないか。バディコメディとしても実に愉快な仕上がりになっている。

 

イギリスの首相サム・クラークを演じるイドリス・エルバとアメリカ大統領ウィル・デリンジャーを演じるジョン・シナは、『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』(2021)で共演しており、今回もぴたりと息のあったところを見せている。

 

映画の序盤、二人は常にいがみ合っているが、その内容といえば、アクションスター出身の新人政治家とベテラン政治家のイギリス首相のビジョンの違いが原因のものであったり、大統領選でライバルにエールを送ったことを大統領が逆恨みしているというような他愛もないものだ(もめごとの原因にはフィッシュ&チップスも含まれるが)。作り様によっては、互いの国民性を揶揄するブラックユーモア的な内容や、政治や文化に対するシニカルなやりとりをもっと盛り込むことも可能だっただろうが、本作の場合、へんに欲を出さず、むしろそうしたものを極力排除し、エンターティンメントに徹している。

 

テロリストに襲われ、危機一髪な瞬間を何度も潜り抜ける中で、次第に2人の結束が強まっていくのだが、その過程で、なぜ、彼らが政治家を目指したのかを告白するシーンがある。どちらも素晴らしいと絶賛されるほどの内容ではないかもしれないが、そこにはそれぞれの良き人柄が表れていて、この点に関しては現実世界の政治家に対するアンチテーゼになっていると言ってもいいかもしれない。

 

アクションシーンに関しては、エアフォースワンが内部と外部から同時に責められる息つく間もないバトルから始まって、カーチェイス、銃撃戦、拳闘とあらゆるアクションを詰め込んでいる。

 

中途でMI6のエージェント、ノエル・ビセット(プリヤンカー・チョープラー・ジョナス)が登場するのだが、冒頭で死んだと思われていた彼女が生きていたことを説明するのに、ダイジェストのような映像がものすごいスピードで早送りのように流れるのが実に可笑しい。彼女は優雅な動きで鮮やかに相手を殴り、たたきつけ、蹴り飛ばし、銃で吹っ飛ばす。実に頼もしい助っ人だ。有能だがおしゃべりなCIAエージェントに扮するジャック・クエイドも短い出番ながらも強烈な印象を残す。

 

また、パディ・コンシダイン扮するロシアの武器商人の手下たちが大胆かつ残忍で圧倒的に強いのも本作の大きな魅力のひとつだろう。彼らはものすごいスピードでどこまでも追いかけて来るのだ。

 

ところで、ウィル・デリンジャーのモデルは誰だろう。俳優が大統領まで上り詰めたという意味では、ロナルド・レーガンなのかもしれないが、アクションスターという点を重視するならやはりアーノルド・シュワルツェネッガーだろうか。彼らが危機にさらされる時、常にデリンジャーの映画的記憶が言及される作りはメタ的な面白さがある。冷静で真面目な英国首相とのコントラストが、バディものの力強い要素として映画を支えているが、まったく映画に興味がないように見えた彼がラスト近くで語る台詞には誰もがぐっとくるだろう。

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