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Netflix韓国ドラマ『トリガー』(全10話)あらすじと感想/もし、韓国社会に銃が蔓延したら⁉ キム・ナムギルが元軍人の警察官を演じるアクションスリラー

受験生を対象にした寮で、一人の若者が、寮生を銃で次々と撃ち殺す事件が発生。現場に駆け付けたイ・ド巡査は囮となって、逃げ遅れた寮生たちを救出すると共に、銃を振りかざしていた若者を逮捕する。なぜ、この普通の若者が自動小銃を所持していたのか!?  彼の証言から驚くべき事態が浮かび上がって来る。

 

Netflix韓国ドラマ『トリガー』は、銃の規制が厳格に行われている韓国で、銃が手に入るようになったらどうなるかという命題を扱ったスリリングなアクションドラマだ。

 

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ドラマ「熱血司祭」シリーズ(2019、2024)やドラマ『悪の心を読む者たち』(2022)、映画『非常宣言』(2022)などの作品で知られるキム・ナムギルが警察官イ・ドを、ドラマ『悪人伝記」(2023)、『愛だと言って』(2023)のキム・ヨングァンが癌を患った謎の男ムン・ベクを演じている他、ウ・ジヒョン、キム・ウォネ、チョン・ウンイン、チョ・ハンチョル等実力派俳優が多数共演。

監督を務めたのは『殺人鬼から逃げる夜』(2021)のクォン・オスン。

 

韓国ドラマ『トリガー』は、Netflixにて2025年7月25日より配信中。

 

目次

 

Netflix韓国ドラマ『トリガー』(全10話)作品情報

(C)Netflix

2025年/韓国/全10話(全422分)/原題:트리거(英題:Trigger)配信:Netflix

監督(演出)クォン・オスン、キム・ジェフン 脚本:クォン・オスン

出演:キム・ナムギル、キム・ヨングァン、パク・フン、キル・ヘヨン、キム・ウォネ、ウ・ジヒョン、チョン・ウンイン、チョ・ハンチョル、チャン・ドンジェ、チャ・レヒョン


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Netflix韓国ドラマ『トリガー』(全10話)あらすじ

(C)Netflix

(二話までのストーリーを書いています)

元軍人で戦地で闘った経験を持つイ・ドは、今は巡査として市民を守っていた。暖かな、思いやりのある性格で、皆に慕われている彼は、ティーザー銃のみを所有し、本物の銃は携帯していなかった。かつて銃で人を護ろうとした彼は、銃の怖さを良く知っていた。

 

イ・ドは、新人警官のチャン・ジョンウの教育担当となり、共に行動するようになった。電子足輪を付けられた性犯罪者チョン・ウォンソクを監視するのも彼らの仕事のひとつだ。性犯罪者の家とは知らず、単身で浄水器の取り換えにやって来た女性が危険にさらされた際、間一髪で踏み込めたのも日ごろの真面目な働きぶりの成果だった。

 

ある日、屋上に設けられた小屋で男の首つり遺体が発見された。警察の検証の結果、事件性はなく自殺と断定されるが、なぜか男性の遺体の傍で軍用ライフルの弾丸が発見された。

 

本来、弾丸は軍がきちんと管理して記録されているはず。ひとつでもなくなったら大騒ぎになるところだ。刑事たちが銃器に関する専門知識を持っているイ・ドに、弾丸をみせたところ、韓国では使われていないものであることが判明。イ・ドは現場に赴き、天井からさらに数十発の弾丸を発見する。

 

一方、公務員試験の受験生、ユ・ジョンテ(ウ・ジヒョン)は、市民が様々な場所でルールを守らないことに腹をたてていた。地下鉄で妊婦が前に立っているにもかかわらず優先席を占領している男にジョンテは注意するが、男は疲れているんだと言って席を譲るのを拒否し、おまけに車内では別の男が乗客たちに押し売りめいたことをして騒ぎ立てていた。

 

怒りを抑えるためにセラピーに通っているが、医者から薬を飲んでいませんねと指摘される。薬を飲むと眠たくなって、勉強が出来なくなってしまうのだ。これまで試験に何度も落ちていて、今度こそはなんとしても合格したかった。

 

ジョンテは受験者用の寮に入っていたが、部屋は狭く壁も薄い。隣の住人が夜な夜な女性を連れ込み、どうみても受験者風でないやくざものが、禁煙なのに常に煙草を吸い、その匂いが部屋に入ってくる。注意しても彼らは一向に改める気配がない。

 

彼は何度も怒りを爆発させかけるが、ずっとこらえていた。しかし、ついに我慢の限界がやって来る。彼は、常に持ち歩いていたギターケースから自動小銃を取り出し、隣人を壁越しに撃ち、さらに煙草を吸う男を射殺、苦情をきちんと聞かない管理人にも発砲。大量殺人者に変貌する。

 

すぐに警察が駆け付けるが、ユ・ジョンテは狂ったように自動小銃を撃ちまくっていた。イ・ドは囮となって、寮の人々を脱出させ、一瞬の隙をみてユ・ジョンテにとびかかり、彼を取り押さえることに成功。さらに彼の部屋を検証した際、ベッドの中に大量のライフルや銃が隠されているのを発見する。

 

逮捕された彼はルールを守らない方に問題があるとまったく悪びれるふうもなかった。銃はどうやって手に入れたのかと尋ねると宅配便で送られて来たという。そして、驚くべきことに韓国で銃を持っている人は他にもいると言うのだ。

 

ジョンテの部屋から押収した銃は、どれもが外国の戦争で使われている銃器だった。イ・ドは、自殺者の家で発見された弾丸がこれらの銃器で使用されるものだと語った。二つの事件は関連があるようだが、自殺者とユ・ジョンテを結びつけるものは何も見つからなかった。

 

そのころ、チョン・ウォンソクは自身の部屋の前に置かれた大きなダンボール箱に目を停めた。長らく放置していたのだが、開けてみると、そこには自動小銃が入っていた。彼はそれらを組み立て、釣り竿のケースに入れると部屋を出た。銃の試し撃ちをするために軍の基地に近い山へと向かったのだ。彼は電子足輪のせいで、不自由な生活を強いられていることにひどく腹を立てていた。

 

イ・ドは、ジョンテに送られて来た宅配のダンボール箱を発見する。ダンボールには、どこかで見たことのあるマークが印刷されていた。イ・ドはすぐにそれをどこで見たかを思い出した。チョン・ウォンソクの部屋に行った際、彼の家のドアの横にそのマークを付けた大型の宅配便が置かれていたのだ。

 

彼はすぐにチョン・ウォンソクの家に向かうが、チョン・ウォンソクは留守で、代わりに見知らぬ男が隠れているのを発見する。男はここに銃を捜しに来たという。一体なぜ、彼はここに銃があると知ったのだろうか!? そして一体何者が、銃を市民に送っているのか!?

 

Netflix韓国ドラマ『トリガー』(全10話) 感想と解説

(C)Netflix

「受験者寮」という安宿に住み公務員試験の合格を目指す受験生、ユ・ジョンテ(ウ・ジヒョン)は、社会のルールを守らない人々に対して常に怒りを抱いていた。英語教室の皮肉屋の教師に注意されたことをきっかけに怒りを爆発させた彼は、おもむろに自動小銃を取り出し、発砲、クラスの全員を皆殺しにする。

 

唖然として観ていると、それが彼の空想であることがわかり、ほっとさせられるのだが、すぐに無神経な寮生たちに対して我慢の限界に達した彼は本当に、銃を乱射して大量殺人を犯すのだ。

 

なぜ、彼のような普通の市民がこのような危険な銃器を持っているのか⁉ 彼の証言によれば宅配便で銃が送られて来たというが、一体誰が送って来たのか⁉ なんとも不可解で魅力的な導入部だ。

 

タイトルの「トリガー(trigger)」とは、「引き金」、「きっかけ」という意味を持つ言葉だ。本作では日常の圧迫に対して限界に達した人々が銃の「引き金」を弾くことになる「きっかけ」が丹念に綴られていく。学校や、職場のいじめ、過労死した息子の人権を会社に訴える母親など、至るところに苦しんでいる人々がいる。

 

そこから浮かび上がってくるのは、今の韓国社会に対する猛烈な不信感だ。力のある勢力がいかにして弱い立場の人々を操り、自分たちの利益のために利用しているか、倫理観のない悪が蔓延り、司法や政治も弱い立場の人をささえる手段にはならず、ジャーナリストも、権力者の広報と成り下がっている。そんな社会で無事に暮せているとすれば、それはある意味、運が良いだけなのだ。その運だっていつ終わるかわからない。これらは決して韓国だけの話ではないだろう。

 

日々の暮らしの中でストレスを抱えた人々が限界に達した時、突然銃器にアクセスできるようになったらどうなるのだろうか? 韓国は、日本と同じく厳格な銃規制が行われているが、日本と違うのは、兵役が課せられているため、国民の半分が銃を扱えることだ(それゆえに『イカゲーム2』の終盤のクライマックスも説得力のあるものだった)。

 

荒唐無稽な話に思えるかもしれないが、あなたも一度くらいは考えたことがある事柄ではないだろうか。もしこの国で銃が合法となったら、アメリカのように乱射事件が頻発したり、犯罪が増加するのだろうか。銃がないからこそ、今の犯罪率でなんとかおさまっているのではないのか、等。

 

物語は様々な人々のトリガーを描きながら進んで行く。銃を取る前の彼ら、彼女たちの苦しみを見ていると、自分だったらと考えずにはいられなくなる。生活するのに今や欠かせなくなっている宅配便という手段で銃が届くという発想が面白く、現実の身近な問題として物語を捉えることが出来るのも、本作の巧みな点だろう。

 

5話の中盤あたりから、銃を民間人に配っている黒幕が明かされる。背後に海外の武器商人たちがいることが分かって来るのだが、そうした陰謀自体は、それほど独創的なものではない。悪の組織という点では、ソウルのヤクザたちの存在の方がずっと面白い。

ヤクザの組長であるコン部長(ヤン・スンリ)と、下級部下のク・ジョンマン(パク・フン)の騙し合いや、ヤクザの親分ばかりが集まる集会などはコミカルな可笑しさを漂わせている。とりわけ、親分のひとりが「銃だけはやめとけ。絶対に軍隊が動き出す。我々はこれからも刃物でいく」と語るシーンがあるのだが、その一言でコン部長が怖くなって、ジョンマンに全てをおしつけようというくだりがある。コン部長の小心者ぶりが笑えるのだが、こうした力のない上司がいる境遇ほど大変なことはないとジョンマンに同情してしまう。

 

銃が主題ということもあり、本作のアクションシーンは実にスリリングでエンターティンンメント性に富んでいる。監督のクォン・オスンは、ガラスが割れるという現象を繰り返し使うことで、銃アクションの迫力と凶器としての恐ろしさを存分に表現している。例えば、学校の図書室に逃げ込んだ生徒たちが、ドアが開かないようにバリケードを組むが、ガラス張りのドアは銃弾により一瞬で破壊される。また、キム・ナムギル扮するイ・ド巡査が、銃を持っている相手の囮になって、寮内や、署内で逃げ遅れている人を助ける場面では、ガラス越しに相手に姿を見せて、相手が窓ガラスに発砲すると、すべてが割れて崩れ、奥の風景が鮮明に画面に浮かび上がり、同時にキム・ナムギルの姿(影)が、さっとフレームから消えるというアクションを何度か繰り返している。さらに発砲によってできた穴を覗くようなカメラワークも見られ、本作独自の新鮮なアクションシーンを多数作り出している。

 

ガンアクションに加え、格闘アクションも、素晴らしい。とりわけ、キム・ナムギルの動きの俊敏さは特筆に値するだろう。

 

彼が演じるイ・ドは、幼い頃、「銃」に大切な家族を奪われるという不幸な出来事を経験し、その後、軍隊では狙撃兵となるなど、「銃」と深い因縁を持つキャラクターだ。だからこそ、銃の恐ろしさと、それを相手に向けて発射すると自分自身も傷つけることになることを良く知っており、彼が銃を持つ人々に語り掛ける言葉には圧倒的な説得力がある。一貫して厳しい表情をしているイ・ドだが、その内面には暖かな思いやりがあり、彼の存在自体が、この一連の悲劇の唯一の救いになるという展開にも納得ができる。

また、ムン・ベクを演じるキム・ヨングァンのカリスマ性も素晴らしく、キム・ナムギルと抜群のケミストリーを共有している。

 

このような俳優たちの骨太の演技と共に、少しずつ謎が深まって行く展開や、テーマを身近な問題として扱う仕掛けの旨さも相まって、昨今のこの手のジャンルの韓国ドラマの中でも屈指の出来栄えとなっている。全10話一挙見必須の作品と言えるだろう。

 

 

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