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Netflix映画『セキュリティ・チェック』(Carry-On)あらすじと評価/タロン・エガートンが極悪非道なテロ計画に巻き込まれる運輸保安局員を演じるアクション・スリラー

クリスマス・イブにロサンゼルス国際空港で働く運輸保安局員のイーサンはひょんなことから極悪非道なテロ計画に巻き込まれてしまう。謎の男たちはセキュリティ・チェックをすり抜けてある荷物を機内に持ち込みたい。言うことを聞かなければ恋人で妊娠中のノラを殺すと脅迫されたイーサンは・・・

 

Netflix映画『セキュリティ・チェック』は、『エスター』(2009)、『アンノウン』(2011)、『フライト・ゲーム』(2014)が世界的ヒットを放ったスペイン出身のジャウム・コレット=セラが監督を務めたアクション・スリラーだ。

 

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主演を務めるのは「キングスマン」シリーズなどの作品で知られるタロン・エガートン。ごく普通のどちらかといえば冴えない等身大のキャラクターが事件に巻き込まれて行く様を説得力のある演技で見せている。

黒ずくめの謎の男にジェイソン・ベイトマンが扮している他、ローガン・マーシャル=グリーン、テオ・ロッシ、ディーン・ノリスなどの優れた個性派俳優ががっちり脇を固めている。

 

映画『セキュリティ・チェック』は2024年12月13日よりNetflixにて配信中。

 

目次

 

Netflix映画『セキュリティ・チェック』作品情報

(C)Netflix

2024年製作/119分/アメリカ映画/英題:Carry-On

監督:ジャウム・コレット=セラ 製作:ディラン・クラーク 脚本:T・J・フィックスマン マイケル・グリーン 撮影:ライル・ヴィンセント 編集:フレッド・ラスキン、エリオット・グリーンバーグ、クリスティアン・マイディク 音楽:ローン・バルフ

出演:タロン・エガートン、ジェイソン・ベイトマン、ソフィア・カーソン、ダニエル・デッドワイラー、ローガン・マーシャル=グリーン、テオ・ロッシ、ディーン・ノリス、シンクア・ウォールズ、ジョシュ・ブレナー、カーティス・クック

 

Netflix映画『セキュリティ・チェック』あらすじ

(C)Netflix

イーサンは、パートナーのノラが妊娠したことがわかり幸せに包まれるが、心の片隅では一抹の不安を覚えていた。

 

ノラを好きになり、彼女とランチを一緒に食べたいという一心で、彼女と同じロサンゼルス空港での仕事に就くことになったイーサンだったが、どうも仕事に身が入らない。というのも、彼には別に成りたかった職業があり、その夢が果たせなかったことでずっと精神的なスランプが続いていたからだ。

 

ノラは彼の悩みに気付いており、もう一度警察学校に入学するようアドバイスする。一度の試験に落ちたくらいで諦めるなんて、とノラは励ましてくれるが、イーサンは生返事をするだけだ。そう、彼は警官になりたかったのだ。

 

今日も職場に少し遅れてしまったイーサンだったが、生まれてくる子供のために、一念発起。上司のフィルに、セキュリティ・チェックの業務につかせてほしいと直談判する。本来その場につくはずだったチーフの計らいで、彼の希望は聞き入れられることに。

一年で一番混みあい、また、乗客のイライラもピークになるこのクリスマス・イブの日に、きちんと仕事をこなせるところを見せれば昇給も約束されるだろう、と彼は目論んでいた。

 

ところが、思わぬ事態が発生する。セキュリティレーンに残された落としもののイヤホンを受け取ったイーサンの携帯に非通知のメールが送られて来たのだ。メールにはイヤホンを耳にはめろと記されていた。

 

イーサンがイヤホンをはめると男の声で「今日は大変な一日になるだろうが、正しく対処すれば無事終えられる」と告げられる。最初は同僚のいたずらだろうとイーサンは考えるが、どうやらそうではないらしい。では、なぜ男はイーサンの名前を知っているのだろうか。男の要求は今からニューヨーク直行便の搭乗券を持っている自分の仲間の荷物を無条件で通せというものだった。さらに男は言うとおりにしなかったらノラを殺害すると告げた。

 

彼らは本来そのセキュリティレーンを担当する別の職員の家族を拉致しようとしていたのだが、突然担当がイーサンに替わったことで、急遽、作戦を変更。すぐさま、イーサンの家に侵入し、冷静に個人情報を集めたのだ。

 

男はイーサンが今、何をしているのかも全て把握していた。近くにいるかもしれないとイーサンは耳を澄まし、怪しい男に気付く。イーサンは空港警官に危機を伝えようとするが、イーサンの行動に気づいた怪しい男によって警官は殺害されてしまう。

 

彼らは本気だ。もし、何か不審な動きをすればノラが殺されてしまう。イーサンは彼らの言うことに従わざるを得なくなっていた。そこに現れたのは、彼らが指定したリボンを結んだスーツケースを持つ男だった。

 

セキュリティのX線検査機にはスーツケースの中身が極めて危険なものであることが示されていたが、イーサンはそれを黙って通すしかなかった。このままではこの危険物が機内に持ち込まれてしまう。

 

絶体絶命の立場に立たされたイーサンは・・・。

 

 

Netflix映画『セキュリティ・チェック』感想と解説

(C)Netflix

(ネタばれ&ラストに言及しています。ご注意ください)

Netflix映画『セキュリティ・チェック』はそのほとんどが空港内で展開する。シンプルなプロットながら、最後まで予測のつかないアクション・サスペンスだ。

 

タロン・エガートン扮する主人公・イーサンは、ロサンゼルス空港で働くアメリカ連邦保安庁の職員。一年で空港が最も混み合うクリスマス・イブの日に自ら志願してセキュリティ・チェックの業務に就いた彼は、恐るべき陰謀に巻き込まれる。

テロリストが彼に命じたのは仲間が持ち込むバッグをX線検査機に無条件で通すこと。テロリストの手先になることを拒んだり、へんな動きをみせれば、同じく空港に勤務する恋人が殺されてしまう。黙って言う通りにすれば自分も恋人も無事でいられるが、この荷物を機内に持ち込ませてしまえば何百人もの罪のない乗客が亡くなることになる。

 

T・J・フィックスマンによる脚本はシンプルだが緊密に構成されており、イーサンが抱えるジレンマに観ている私たちも否応なく引きずり込まれて行く。本作が『ダイ・ハード』を念頭に置いているのは明らかだが(どちらもクリスマス映画!)、『ダイ・ハード』も、まず何よりも脚本が細部まで緊密に構成された優れたものだったことを思い出す。

ジャウム・コレット=セラ監督は優れた脚本を得て、水を得た魚のようにアクション・スリラーというジャンルにおける彼の才能を遺憾なく発揮している。

 

前半はイーサンが席についたまま、イヤホンを通してジェイソン・ベイトマン扮する謎の男とやり取りし続ける場面が長々と続くが、緊張感が途絶えることはない。とりわけ、X線検査機がバッグの中身を映し出す場面では緊迫感と同時になんとも言えない感情に包まれる。タロン・エガートンの抑えた受け身の演技が素晴らしい。

 

イーサンの意志が動き出すにつれ、息の詰まるような閉ざされた空間から空港内外の様々な場所へと舞台は徐々に広がりを見せていく。遅刻常習犯でうだつがあがらず弱さばかりが目についた彼が、実は警官志望だったという伏線がここにきて効いてくる。静から動へ。エガートンが空港内を走りに走り、疾走というものがアクション映画に如何に不可欠なものであるかということを改めて感じさせてくれる。

 

終盤になるとさらにアクションのボルテージが高まるのだが、ダニエル・デッドワイラー演じるロサンゼルス市警の刑事が巻き込まれる猛スピードで走行中の車中バトルの壮絶さには目を見張るものがある。

ちなみにこの刑事、物凄く重要な役柄で、というのも、何を信じるか、信じないか、決断を瞬時に下さないといけないからだ。気持ちいいほど、びしばしと決断し続けるダニエル・デッドワイラーが実にかっこいい。

 

 謎のテロリストを演じるジェイソン・ベイトマンは、隙のない冷酷な男を憎々し気に演じ、その相棒役のテオ・ロッシはさらに凶暴さも兼ね備えた油断ならないキャラクターだ。

他にも『ブレイキング・バッド』のディーン・ノリスがエガートンの上司役で出演しているなど、脇を固める人々も皆、生き生きしているのも本作の魅力のひとつだろう。

www.chorioka.com

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