デイリー・シネマ

映画&海外ドラマのニュースと良質なレビューをお届けします

映画『「桐島です」』 日本映画プロフェッショナル大賞 作品賞&主演男優賞(毎熊克哉)受賞 !授賞式レポートが到着

1970 年代の連続企業爆破事件で指名手配中の「東アジア反日武装戦線」メンバー・桐島聡容疑者(70)が、「最期は本名で迎えたい」と語り、入院報道の 3 日後の 2024 年 1 月 29 日に亡くなるまでのナゾに満ちた軌跡を描いた映画『「桐島です」』第 35 回日本映画プロフェッショナル大賞の作品賞と主演男優賞(毎熊克哉)を受賞した。

このたび、授賞式の様子を伝えるオフィシャルレポートが到着した。

映画『「桐島です」』毎熊克哉のオフィシャルインタビューはこちら

www.chorioka.com

 

 

第 35 回日本映画プロフェッショナル大賞授賞式オフィシャルレポート

©北の丸プロダクション

桐島聡の 20 歳から 70 歳で亡くなるまでを演じた主演の毎熊克哉に花束を贈呈したのは、恋人・ヨーコ役で出演した海空。祖父の高橋伴明監督の「桐島の役は、毎熊にしかできなかった」とのメッセージを預かっており、「撮影中も完成後も何度もそういう言葉を私は聞いていて、それが形になったかのように主演男優賞受賞。おめでとうございます」と祝った。

 

毎熊克哉さん ©北の丸プロダクション

毎熊は、「初日は海空さんとの二人のシーンから始まりまして、支度場から現場の道中で、海空さんのおじいさんが高橋伴明監督だということを知り、ただでさえ緊張していたのんですけれど、もっと動揺して、印象的な初日でした」と二人の衝撃的な出会いについて話し、笑いを誘った。

毎熊は、「21 歳で役者を始めた時に、高橋伴明監督の『禅 ZEN』という作品にエキストラで出演しました。僕にとっての初めてのプロの映画の現場でした。なので、高橋伴明監督は、役者人生の始まりみたいな存在です。そんな監督が、誰でも知っているけれど誰もわからない桐島聡という非常に難しい役を僕に託してくださるということで、嬉しい気持ちと不安がいっぱいでした。いざ脚本を読んでみると、ホン(脚本)に、桐島聡という人間の心が、文字ではなく淡々とした生活の中に、読み取れました。そのホンを握りしめて現場に行ったら、20 代から 70 代までをメイクさんが作ってくれて、時代に合わせた衣装を着せていただき、部屋に行ったら、桐島の心を表現しているかのような部屋の飾りがあり、そこでキャメラと監督がじーっとこっちを見ていて、僕は本当にもらったホンの通りにやりました。高橋伴明監督の元に集まった、超一流のスタッフの皆さんが用意してくださった環境がなければ、桐島という人物を自分はやることはできなかったと思っています。主役として映画の現場にどっぷりと浸かって映画作りの経験ができたことは、自分にとって今後の人生において、ものすごく大きな糧になると思います」と関係者に感謝を伝えた。

また、「高橋伴明監督とのご縁を作ってくださったのは、事務所の社長でもある万代博実さんでした。万代さんからもらった最後の出会いが高橋伴明監督との出会いでした」と昨年亡くなった先代の社長にも感謝を述べた。

最後に、「いつも劇場に映画を見に来てくださっている映画ファンの皆さん、どれだけ映画を作っても、見てくれる人がいなければ、我々はいないなとすごく思っています」と映画ファンにも感謝を伝え、「この賞は、これからも頑張りなさいよというメッセージだと思って、受け取ります」と話し、コメントを締め括った。

 

作品賞を伴明監督の名代として受け取ったのは、製作総指揮の長尾和宏と共同脚本の梶原阿貴。花束を渡した奥田瑛二は、「同胞である高橋伴明の作品ということで嬉しいですね。長尾和宏さんが原作(で高橋伴明監督)の『痛くない死に方』と『安楽死特区』に参加させていただいて、伴明とは 40 年の友達です」と話し、(今年 1 月に公開になった)『安楽死特区』の撮影のためにスケジュールを調整していた際に、伴明監督から、「奥田、『「桐島です」』を撮ることになったから『安楽死特区』は延期だ」と電話がきたというエピソードを披露。

毎熊については、「二度も連続で(主演で)使うってすごいな」と思ったと話し、伴明監督の毎熊への信頼に感銘を受けている様子だった。

『「桐島です」』については、「高橋伴明というのは世の中に対する反骨とイデオロギーを凌駕したところで映画を撮り続けてるんだなと解釈しました」と感想を述べた。

 

脚本の梶原は、「『爆弾犯の娘』、梶原阿貴です」と、爆破事件に関与し指名手配され逃亡していた父を持った稀有な半生を赤裸々に綴った話題のエッセイ本のタイトルを使い自己紹介。

「桐島聡の手配写真があったんですが、その隣に父の写真がずっと並べられていました。そんなご縁で、この話をいただいたときに、私にしか書けない脚本だと思いました」と振り返った。

「桐島聡が 50 年前に何を考えてあんなことをしたのか、それは 50 年経った今に直結して言える問題です。そのことをよく考えてもう一度映画を見ていただけると、また違う楽しみ方があると思います。全ての差別と戦争に反対します!」と熱いメッセージを送った。

 

製作総指揮の長尾は、「高橋伴明監督、梶原阿貴脚本、毎熊克哉主演でなかったらできなかったという映画です。毎熊さんが歌った劇中歌『時代おくれ』(河島英五)、単調な逃亡生活に、内田勘太郎さんのスライドギター、エンディングは、浅川マキの『こんな風に過ぎて行くのなら』。渋いですよね」と本作の音楽の魅力にも言及。

最後に、「毎熊さん、おめでとうございます。毎熊さんは本作に続いて、今年公開された『安楽死特区』にも主演していただいて、7 月 7 日から配信が始まります」と新作の宣伝も忘れなかった。

 

映画『「桐島です」』イントロダクション

©北の丸プロダクション

2024 年 1 月 26 日、衝撃的なニュースが日本を駆け巡った。1970 年代の連続企業爆破事件で指名手配中の「東アジア反日武装戦線」メンバー、桐島聡容疑者(70)とみられる人物が、末期の胃がんのため、神奈川県内の病院に入院していることが判明した。

男は数十年前から「ウチダヒロシ」と名乗り、神奈川県藤沢市内の土木関係の会社で住み込みで働いていた。入院時にもこの名前を使用していたが、健康保険証などの身分証は提示しておらず、男は「最期は本名で迎えたい」と語った。報道の 3 日後の 29 日に亡くなり、約半世紀にわたる逃亡生活に幕を下ろした。

 

桐島聡は、1975 年 4 月 19 日に東京・銀座の「韓国産業経済研究所」ビルに爆弾を仕掛け、爆発させた事件に関与したとして、爆発物取締罰則違反の疑いで全国に指名手配されていた。最終的に被疑者死亡のため、不起訴処分となっている。

このナゾに満ちた桐島聡の軌跡を『夜明けまでバス停で』(22)で第 96 回キネマ旬報ベスト・テン日本映画監督賞、脚本賞を始め数々の映画賞を受賞した脚本家・梶原阿貴と高橋伴明監督のコンビがシナリオ化。医師の⻑尾和宏が、『痛くない死に方』『夜明けまでバス停で』に続き、高橋作品の製作総指揮を務める。

 

桐島は何を思い、どんな事件を起こし、その後、半世紀にわたって、どんな逃亡生活を送っていたのか。

 

主演の桐島聡役は毎熊克哉。主演映画『ケンとカズ』(16)で注目されて以来、映画・ドラマで活躍し続けている。本作では 20 歳から 70 歳で亡くなるまでを演じ切っている。

また、さそり部隊のメンバー宇賀神寿一役には『SR サイタマノラッパー』(09)、主演『心平、』(24)の奥野瑛太が起用された。奥野も 20 代から 70 代までの幅広い年代を見事に演じた。
さらに、ミュージシャンのキーナ役には『春画先生』(23)で新境地を見せ、NHK 連続テレビ小説「ばけばけ」(25)の英語が堪能なお嬢様・江藤リヨ役で注目を浴びた北香那。劇中では河島英五の名曲「時代おくれ」(86)のカバーを披露し、新たな演技の幅を見せている。

謎の女役は高橋監督のパートナーで昭和を代表する女優、高橋惠子が演じる。本作のタイトルに触れた高橋惠子本人が、夫である伴明監督作品に初めて自ら出演を希望したという。

また、『さすらいのボンボンキャンディ』(22/サトウトシキ監督)で好演した原田喧太と影山祐子のコンビがバーの店主役と工務店の事務員役をそれぞれ務めた。

さらに甲本雅裕、山中聡、白川和子、下元史朗、趙珉和といった高橋監督に縁の深いキャスト陣が脇を固め、映画を一層深みのあるものにしている。

 

映画『「桐島です」』あらすじ

youtu.be

1970年代、高度経済成長の裏で社会不安が渦巻く日本。大学生の桐島聡は反日武装戦線の活動に共鳴し、組織と行動を共にする。しかし、1974年、三菱重工爆破事件で多数の犠牲者を出したことで、深い葛藤に苛まれる。組織は警察当局の捜査によって、壊滅状態に。指名手配された桐島は偽名を使い逃亡、やがて工務店での住み込みの職を得る。ようやく手にした静かな生活の中で、ライブハウスで知り合った歌手キーナの歌「時代遅れ」に心を動かされ、相思相愛となるが…。

 

映画『「桐島です」』作品情報

2025年/日本/カラー/アメリカンビスタ/5.1ch/日本語/105min

出演:毎熊克哉、奥野瑛太、北香那、原田喧太、山中聡、影山祐子、テイ龍進、嶺豪一、和田庵、伊藤佳範、宇乃徹、長村航希、海空、安藤瞳、咲耶、趙珉和、松本勝、秋庭賢二、佐藤寿保、ダーティ工藤、白川和子、下元史朗、甲本雅裕、高橋惠子

監督:高橋伴明 製作総指揮:長尾和宏 企画:小宮亜里 プロデューサー:高橋惠子、高橋伴明 脚本:梶原阿貴、高橋伴明 音楽:内田勘太郎 撮影監督:根岸憲一 照明:佐藤仁 録音:岩丸恒 美術:鈴木隆之 衣裳:笹倉三佳 ヘアメイク:佐藤泰子 制作担当:柳内孝一 編集:佐藤崇 VFXスーパーバイザー:立石勝 助監督:野本史生 ラインプロデューサー:植野亮 制作協力:ブロウアップ 配給:渋谷プロダクション 製作:北の丸プロダクション