医師で作家の長尾和宏の原作をもとに、丸山昇一が脚本を担当、高橋伴明が監督を務めた映画『安楽死特区』が2026年1月23日より新宿ピカデリー他にて全国順次公開される。
この度、本作の公開記念舞台挨拶の詳細が解禁。また、SYO(物書き)、ダースレイダー(ラッパー)の推薦コメント及び、回復の見込みがない難病を患い、余命半年と宣告されたラッパー・酒匂章太郎役を演じた毎熊克哉のオフィシャルインタビューが到着した。
映画『安楽死特区』公開記念舞台挨拶詳細

【日時】 1/24(土) 15:00 の回 上映後 舞台挨拶
【会場】 新宿ピカデリー(東京都新宿区新宿 3 丁目 15 番 15 号)
【登壇者】毎熊克哉、大西礼芳、筒井真理子、板谷由夏、gb、余貴美子(以上、出演)、丸山昇一(脚本)、長尾和宏(原作・製作総指揮)、高橋惠子(プロデューサー)(予定・敬称略)
≪チケット購入方法≫
新宿ピカデリー ホームページにて先着販売
WEB: 1/11(日)24:00(=1/12(月・祝)0:00)~
劇場窓口: 1/12(月・祝)劇場オープン~ (残席がある場合のみ)
毎熊克哉オフィシャルインタビュー

――『「桐島です」』に続いての高橋伴明監督作品への主演になりました。どういう経緯だったのですか?
毎熊克哉(以下、毎熊):同時期にお話をいただいたんです。自分でも驚きました。企画としては『安楽死特区』が先に立ち上がっていたそうですが、撮影は『「桐島です」』が先でした。同時期に主演を任せてもらえたのは奇跡のようなことだと思います。撮影したのは 2024 年でしたが、すごく強烈な年だったなと思います。どちらも重いテーマでしたが、特にこの『安楽死特区』の方が、役としても題材としても難しいと感じました。
――どのあたりが難しかったのでしょうか。
毎熊:『「桐島です」』は 1970 年代という時代背景があり、当時の空気感を知っている人もいます。でも今回の作品は、もっと現代に生きる自分たち一人ひとりに関わる話です。実際の今の日本に安楽死特区があるわけではないのですが、 “安楽死をするか、しないか”という選択は、誰にとっても他人事ではありません。もしかしたら自分自身や家族がそういう局面に立つかもしれない。とても身近なテーマであり、だからこそ難しかったです。
――確かに、誰にでも起こりうるテーマですよね。
毎熊:自分じゃなくても、家族や友人がそれを望む可能性はある。生きている以上、誰にでも起こり得ることです。誰もがいつか死ぬという前提の中で生きている。その“死”と向き合うことが、この作品の核心にあると思いました。
――章太郎という人物を演じるにあたって、どんな準備をされたのですか。
毎熊:正直、何を準備したらいいのか分かりませんでした。難病を患っている役ですが、それを“演じる”ということ自体に危うさを感じていました。健康な自分がそれを真似るようなことをしていいのか、と迷いがありました。
でも実際に同じ病気の方のお話を聞き、映画の最後のインタビューに登場するくらんけさんの著書『私の夢はスイスで安楽死』を読んで、最終的には「むしろ、病気を表現しない方が不誠実だ」と思うようになりました。演じると決めた以上、逃げずに、ちゃんと身体を通して表現しようと覚悟しました。
――くらんけさんの著書から得たものはありましたか。
毎熊:ご両親の言葉も印象的でした。安楽死を望む本人の気持ちだけじゃなく、親の側の葛藤も書かれていました。その両方があって初めて現実なんです。くらんけさんが「安楽死という選択肢があるから生きていける」と書いていたことが心に残りました。死の選択があることで、逆に生が支えられている。これは想像していなかった感覚で、価値観が変わるほど大きな言葉でした。

――高橋伴明監督からはどんな演出がありましたか。
毎熊:『「桐島です」』の時もそうでしたが、撮影中はほとんどないんです。でも、それは放任ではなくて、信頼して見てくれているという感じです。事前に病気の特徴を、どこまで表現するかだけは話しました。最初は「強調しすぎない方がいい」と意見が一致していたのですが、撮影が近づくにつれて少しずつ考えが変わって、やはり状況に合わせてしっかり出すことにしました。監督とは現場でセッションのようにやりとりしながら、感覚をすり合わせていった感じです。
――脚本の丸山昇一さんについては?
毎熊:丸山さんは『野獣死すべし』などを手がけられた伝説的な脚本家です。その方がこのテーマで若い主人公を書いていること自体が挑戦的だと思いました。脚本は“セリフ”というより“詩”のようで、リズムがある。最初、正直、読みづらいと感じたのですが、声に出していくうちに、生きた言葉として体に入ってくる感覚がありました。生と死が入り混じるような、そのハードボイルドな温度感が台詞の中にも息づいている気がしました。
――大⻄礼芳さんとは『初級演技レッスン』に続く共演ですね。
毎熊:彼女は目力が強くて印象的なんですが、実際はとても柔らかくて優しい方です。前作でも元カップル役を演じていたので、お互いの呼吸が分かっていて、今回もすぐに自然な距離感を作れました。難しいテーマの中で、彼女の存在がとても救いになりました。
毎熊克哉 Maiguma Katsuya
1987 年 3 月 28 日生まれ、広島県出身。
2016 年公開の主演映画『ケンとカズ』で毎日映画コンクール、スポニチグランプリ新人賞など数多くの映画賞を受賞。主な映画出演作に『サイレント・トーキョー』(20/波多野貴文監督)、『猫は逃げた』(21/今泉力哉監督)、『冬薔薇』(22/阪本順治監督)、『世界の終わりから』(23/紀里谷和明監督)、『初級演技レッスン』(24/串田壮史監督)、『悪い夏』(25/城定秀夫監督)、『「桐島です」』(25/高橋伴明監督)など。
著名人からの推薦コメント

SYO(物書き)コメント
舞台は今より少し先の社会。安楽死を望む当事者がいる。だから日本でも安楽死法案が可決された。しかし反対する人たちも一定数存在する。そこで国は実験的に特区を設置し、システムを構築した――。居住者は医師との複数回の面談を経て幾度も意思確認をされ、様々な人々の承認を経てようやく安楽死を許される。そんな「もし」の物語。
この徹底した厳格さ......願いが叶うまでの「遅さ」は、個人の尊厳に対する他者の態度の表れなのだろう。命を終わらせるさまを描くこの映画が、現実以上に命を重んじている事実。画面の向こうに真心と豊かさを感じてしまい、どうしようもない苦味が残った。
ダースレイダー(ラッパー)コメント
なぜ人は死を恐れるのか? 死という果てしないわからなさヘの恐怖だろうか。だが、同時に死ほどありふれたものはない。日々、そこら中で当たり前に生き物は死んでいく。つまり僕たちは日々わからないに囲まれている。その狭間のわずかにわかった気になれる部分が生きているということだろう。当たり前なのはわからない方で、わかった気になれることの方が稀なのだ。
同じテーマを扱った欧州作品、例えば「海を飛ぶ夢」や「すべてうまくいきますように」は個人の尊厳に焦点を当てた傑作だが「安楽死特区」ではむしろ周囲との関係性が強く描かれる。言葉が、記憶が受け渡されていく。その受け渡しに確信が持てた時、死と向き合うことが出来るのだ。力強い言葉とダンスに体を揺らしながら、僕はわかった気になって考え続けたいと思う。
映画『安楽死特区』あらすじ
もしも日本で「安楽死法案」が可決されたら――。国会で「安楽死法案」が可決され、国家戦略特区として「ヒトリシズカ」と名づけられた施設が誕生。安楽死を希望する者が入居し、ケアを受けられるこの施設は、倫理と政治の最前線で物議を醸す存在となっていた。回復の見込みがない難病を患うラッパー・酒匂章太郎(毎熊克哉)は、進行する病に苦しみながらも、ヒップホップに救いを見出し、言葉を紡ぎ続けていた。共に暮らすのは、チベットで出会ったジャーナリスト・藤岡歩(大⻄礼芳)。二人は、章太郎が余命半年を宣告された今も、安楽死に反対で、特区の実態を内部から告発することを目的に、「ヒトリシズカ」に入居する。
施設には、末期がんに苦しむ池田(平田満)とその妻の玉美(筒井真理子)、認知症を抱え、完全に呆けないうちに死なせて欲しいと願う元漫才師の真矢(余貴美子)など、それぞれに事情を抱えた入居者たちが暮らしていた。
章太郎の身体は急速に衰え、言葉さえままならなくなり、章太郎は歩に相談もなく、「安楽死を望みます」と考えを一変。歩は、池田の主治医の鳥居(奥田瑛二)の他、章太郎の主治医の尾形(加藤雅也)、三浦(板谷由夏)ら特命医それぞれの想いにも触れ、命と死に真摯に向き合うことを迫られる。
●作品の詳細、高橋伴明監督、丸山昇一さんのオフィシャルインタビュー、出演者のコメントなどは下記の過去記事をご覧ください。