リアリーライクフィルムズの2026-27年度の配給・劇場公開予定作品5作品が発表された。
第78回(2025年)カンヌ国際映画祭で特別賞を受賞した、ビー・ガン監督7年ぶりの新作『レザレクション』を筆頭に、同映画祭監督週間正式上映作品『ラッキー・ルー』、ベルリン国際映画祭ジェネレーション部門グランプリ受賞作品『ボタニスト 植物学家』など、各国際映画祭で注目されたアジア系監督の作品が並ぶ。『レザレクション』は、『凱里ブルース』、『ロングデイズ・ジャーニーこの夜の涯てへ』、『ビー・ガン | ショートストーリー』に続いてリアリーライクフィルムズが配給するビー・ガン監督作、4作品目となる。
更にブラジルが誇るMPB(Música Popular Brasileira,)の伝説的音楽家ミルトン・ナシメントのファイナルツアーを追ったドキュメンタリー『ビトゥーカ』、サンダンス映画祭で注目されたLGBTQ+作品『セバスチャン』も加わる多彩なラインナップだ。
また今回は北海道を拠点に国内外の企画に参加しているPalmyra Moonとの共同配給作品3作品が含まれている。
ReallyLikeFilms Line-up 2026 (タイトルは全て仮題)
レザレクション

(RESURRECTION – 狂野時代)
監督・脚本:ビー・ガン 主演: ジャクソン・イー(少年の君) / スー・チー(黒衣の刺客)
2025年カンヌ国際映画祭特別賞受賞作品
人々が夢を見なくなった世界。それでもなお、ひとり夢に囚われ続けている存在がいる。それは、誰にも見えない幻影を追い続ける“怪物(クリチャー)”。現実から取り残され、過去の夢にすがるその姿は、どこか哀しく、美しい。そしてある日、ひとりの女性が現れる。他の誰にも見えないその幻を、本当の姿として感じ取ることができる、特別な力を持つ人間。彼女は自ら怪物の夢の中へと入り込む。そこに隠された、まだ誰も知らない“真実”を見つけるために──。『ロングデイズ・ジャーニーこの夜の涯てへ』から7年、待望のビー・ガン監督最新作。カンヌ国際映画祭で特別賞を受賞、中国映画として10年ぶりの受賞となった。
2026年5月公開 / 中国・フランス合作映画 / 共同配給: Palmyra Moon
(批評)
阿片に溺れる怪物、女吸血鬼……中国の映画作家ビー・ガンは、「もはや誰も夢を見ることができなくなった社会」を舞台に、ある男が1世紀にわたる夢の中をさまよう姿を描く。圧巻の一作。
━Libération
ビー・ガン監督による新作『Resurrection』は、大胆かつ野心的で、視覚的にも驚異的。幻覚的な世界や非現実、夢のような感覚をとことん抱擁する、トリップ感覚に満ちた作品
━The Guardian
ビー・ガンの世界観では、これは深い悲しみの対象である。映画という感覚の幻想には、言い表せないほどの美しさがあり、その中に逃避する行為には、言葉では尽くせぬほどの尊さがある─たとえ、それが現実から離れることを意味するとしても。
━Variety
ラッキー・ルー

(LUCKY LU)
監督・脚本:ロイド・リー・チョイ(長編デビュー) 主演: チャン・チェン(牯嶺街少年殺人事件) / ファラ・チェン(ゴジラxコング 新たなる帝国) / カラベル・マンナ・ウェイ(新人)
2025年カンヌ国際映画祭監督週間正式上映作品
韓国系カナダ人の新鋭ロイド・リー・チョイ監督による、鮮烈な長編デビュー作。本作は、ニューヨークの過酷な現実の中で生きる移民デリバリーライダーの姿を通して、ギグワーカーが直面する絶望と、それでも前に進もうとするたくましさを力強く描いている。主演のチャン・チェンが、圧倒的な共感力と静かな情熱で、孤独と切迫に満ちた主人公ルーの心情を鮮やかに体現。ロイド・リー・チョイの演出は、都市の冷酷さと人間の脆さ、そして微かな希望を交錯させながら、息を呑むような緊迫感で物語を紡いでいく。娘役のカラベル・マンナ・ウェイの演技にも注目。
2026年秋公開予定 / アメリカ映画 / 共同配給: Palmyra Moon
(批評)
家族を迎え入れようともがく中国人移民を描いた、リアルで陰鬱なニューヨーク物語。
フォレスト・ウィテカーが製作総指揮を務め、韓国系カナダ人監督ロイド・リー・チェイによる初の長編映画。
━The Hollywood Reporter
移民ギグワーカーの絶望とたくましさを描いた、緊迫と感動のポートレート。
チャン・チェンの圧倒的な共感力に支えられたロイド・リー・チョイの長編デビュー作は、敵意あふれるニューヨークを駆け抜ける中国人デリバリーライダーの、息が詰まるような時間との闘いを描く。
━Variety
ルーは時間に追われているが、『ラッキー・ルー』は自らのリズムで進んでいく。重く、慎重に、そして明晰な目で、「自分では住めないかもしれない夢の土台を築く男」を描いている。
━THE UP COMING
ボタニスト 植物学家

(THE BOTANIST)
監督・脚本: ジン・イー(長編デビュー) 主演: ジャスレ・イェスル(新人) / レン・ズーハン(新人)
2025年ベルリン国際映画祭ジェネレーションKplus 国際審査員賞グランプリ受賞
新疆ウイグル地区の辺境の村に暮らす孤独なカザフの少年アルスィンは、植物と触れ合うことで心を癒している。ある日、ハン族の少女メイユーと出会い、ふたりは異なる存在ながらも心を通わせ、共に成長していく。やがてメイユーが上海へ引っ越すことになり、遠く離れた“海”のある街に旅立つ彼女を前に、アルスィンは再び孤独の中で、変わりゆく世界と向き合うことになる。
映画の舞台となった新疆ウイグル地区出身、北京電影学院卒業のジン・イー監督長編デビュー作。ビー・ガン監督がアドバイザーとして参加している。
(2026年夏公開 / 中国映画)
(批評)
本作には、幻想的な映像美の中に社会・政治的な視点が織り込まれており、民族間の隔たりや監視社会、新疆の環境問題が静かに描かれている。こうした要素が、主人公の内面世界と現実とのバランスを取る役割を果たしている。
━Screen Daily
リー・ヴァノンのデビュー作らしい緻密な映像美が、植物に浸食された教室や突然現れる馬などのモチーフを通じて、自然が人間の日常を呑み込むような幻想的世界を描き出している。
━The Hollywood Reporter
『ボタニスト』は新疆の自然豊かな辺境を舞台に、植物学に夢中な少年アルシンと外の世界を象徴する少女メイユーとの淡い交流を描いた幻想的な青春譚であり、緻密な映像美と詩的な語り口で、移ろう季節や現実との境界を静かに浮かび上がらせている。
━ The Film Stage
ビトゥーカ ミルトン・ナシメント フェアウェルツアー

(MILTON BITUCA NASCIMENTO)
監督・脚本: フラヴィア・モラエス 出演:ミルトン・ナシメント カエターノ・ヴェローゾ スパイク・リー
2025年インディリスボア国際映画祭オフィシャルセレクション
2022年に開催されたミルトン・ナシメントのフェアウェルツアーに密着したドキュメンタリー。名優フェルナンダ・モンテネグロのナレーションで進行し、2年にわたる撮影を通して、彼の最後の舞台とその舞台裏、そして素顔に迫る。偉大なミルトンの業績を讃えるために、カエターノ・ヴェローゾやクインシー・ジョーンズ、スパイク・リーら国内外の著名人40名以上がインタヴュー映像で登場。音楽とともに生き、ブラジルの声とまで称された稀代のアーティスト“ビトゥーカ”(*ミルトンの愛称)の人生を、深い敬意とともに描いた感動のポートレート。
(2026年下半期公開予定 / ブラジル映画 / 共同配給: Palmyra Moon)
(批評)
ジルベルト・ジルやマノ・ブラウン、クインシー・ジョーンズなど豪華な証言者も登場し、女優フェルナンダ・モンテネグロの荘厳なナレーションが、まるで聖人伝を読むような神聖な雰囲気を作品に与えている。
━Cinema de Buteco
作中では人種差別の体験や黒人アーティストとしての立ち位置にも触れられている。近年の健康状態についても触れられ、糖尿病に加えてパーキンソン病を患っていることが息子により明かされた。
━The Brasilians
セバスチャン

(SEBASTIAN)
監督・脚本: ミッコ・マケラ(第二回長編監督作品) 主演: ルアリド・モリカ(ヴィジョンクエスト-ディスニープラス) / ジョナサン・ハイド(ブルータリスト)
2025年サンダンス映画祭正式上映作品
ロンドンに暮らす25歳のマックスは、昼は出版社で働く作家志望。だが夜になると、“セバスチャン”という別の名前でセックスワーカーとして活動している。取材の一環だったはずの二重生活は、やがて彼自身の心と身体に深く食い込み、快楽や羞恥、そして自由を通じて、自分自身の本質に向き合うことになる。その変化は、築き上げてきた文壇でのキャリアに影を落とし始める──。サンダンス映画祭に選出された本作は、フィンランド系イギリス人のミッコ・マケラ監督による挑戦的な一作。クィアな欲望が一人の青年の生き方や価値観をどう揺さぶり、変えていくのかを繊細に描き出している。マケラ監督は、IndieWireが選ぶ「注目すべきLGBTQ映画作家25人」に名を連ねている。
(2026年1月公開/ イギリス映画)
(批評)
優しく、思慮深いセクシュアル・オデッセイ。
━The Gurdian
主演のルアリ・モリカは、セリフが少ないながらも、相手の空気や緊張を感じ取る一方で、自分自身の内面には向き合おうとしないマックスの姿を繊細に表現していて素晴らしい。
━Variety
セックスポジティブかつ露骨な描写を含みつつも、決して下品にならず、行為そのものよりも登場人物たちの感情や心理の動きを重視している。マケラの前作『A Moment in the Reeds』(2017)はBIFA新人賞やフィンランドのユッシ賞にノミネートされており、本作もその延長線上にある、成熟した演出が光る一作である。。
━Screen Daily