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『ロックの礎を築いた男 レッド・ベリー ビートルズとボブ・ディランの原点』字幕監修のピーター・バラカン氏のトークイベント公式レポートが到着

世界のロックシーンに多大な影響を与えた伝説の12弦ギタリスト、レッド・ベリーの真実に迫るドキュメンタリー『ロックの礎を築いた男 レッド・ベリー ビートルズとボブ・ディランの原点』が2025年5月23日(金)より池袋シネマ・ロサ、アップリンク吉祥寺、テアトル梅田ほかにて全国順次公開されている。

 

2025年5月26日(月)にはアップリンク吉祥寺にて本作字幕監修のピーター・バラカン氏のトークイベントが開催され、このたび、その公式レポートが届いた。

 

ロックの礎を築いた男 レッド・ベリー ビートルズとボブ・ディランの原点』の内容に関しては下記記事をご参照ください。

www.chorioka.com

 

目次:

 

ピーター・バラカン 氏トークイベント公式レポート

©2024 House of Lead Belly

【2025年5月23日(月) 場所:アップリンク吉祥寺 登壇者:ピーター・バラカン、汐月しゅう(MC)=敬称略】

 

ロックファンでも詳しく知っている人は少ないレッド・ベリー。バラカンも、「CCR の『ミッドナイトスペシャル』や『コットン・フィールズ』、ビーチボーイズの『コットン・フィールズ』などカバー曲を知っている人は多い。僕の世代だと、ロニー・ドネガンも若干後追いで、ビートルズを経由して知ったので、リアルタイムだとは言い難い」と告白。


バラカンは、本作について、「この映画を見て知ることはいっぱいあった。よくできた面白い映画。編集も上手だし、語る人たちがたくさんいる。アラン・ローマックスはかなり前に死んでいるので、彼の映像のように相当昔の話もある一方で、新しく、手広くいろんな関係者の話を聞いている。ポジティブなことだけじゃなくて、例えば(音楽学者の)ジョン・ローマックスの伝記を書いた人が、彼のことを赤裸々に話すので、すごく説得力がある」と大絶賛した。

レッド・ベリーが発見された経緯について、バラカンは、「30 年代はアメリカは結構近代化して、小作農の世の中ではなくなっていて、多くの黒人は南部から北部に移住していて、昔の歌がなくなってしまうとローマックスは見ていたと思う。議会図書館用にそういう歌を記録しておきたいからとりあえず録っておこうと思っていたと思う。ジョン・ローマックスとまだ若かった息子のアランは、1933 年にアンゴラというルイジアナの中の悪名高い刑務所に行き、レッド・ベリーだけでなく、かなり多くの受刑者の歌の採取をしていた。翌年もまたアンゴラに出かけて、多分レッド・ベリーだけを録った。相当多くの曲を録音した」と説明。

 

そのレッド・ベリーがどのように知られるようになったかを聞かれたバラカンは、「皮肉なことに、アメリカの大手のラジオでは白人の音楽しかかかっていない時代。レッド・ベリーのコンサートを直に知ることができるニューヨークの一部の人たち以外は、『グッドナイト アイリーン』がチャートの 1 位になったウィーバーズのカバーで知った。ボブ・ディランも、ラジオではかからなく、『風に吹かれて』もピーター・ポール&マリーがカバーしたものがラジオでかかってヒットした時代。ジョーン・バエズが自分のコンサートにディランを招いて、ディラン自身がアーティストとして売れるのはデビューから 4 年くらい後。レッド・ベリーがディランより不利なのは、黒人だったから。公民権運動が始まるのは 50 年代半ば。亡くなった後にピート・シーガーらが彼の曲を歌っていなければ、彼は知られなかった可能性もある」と解説した。

 

最後に本作の邦題『ロックの礎を築いた男:レッド・ベリー ビートルズとボブ・ディランの原点』についてバラカンは、「イギリスで、ロニー・ドネガンらが、バンドの演奏の合間にスキッフルを演奏。(イギリス人にとっては、)エルヴィスを初めて聞いたのと同じくらいの衝撃だったと思う。スキッフルブームが起こった。レコードが出たのは 1955 年の終わりで、ヒットしたのは 1956 年。エルヴィス・プレスリーの『ハウンド・ドッグ』と同じ時期で、ジョン・レノンはエルヴィスと同時に聞いていると思う。ロニー・ドネガンはイギリス人なので、さらに身近に感じたと思う。ジョンは、安いギターを買って、自分のスキッフルバンドをやった。レッド・ベリーがいなければ、ロニー・ドネ
ガンもヒットしない。ロニー・ドネガンがスキッフルをやっていなければ、(ビートルズの前身の)クオリーメンもない、クオリーメンがなければ、ビートルズもない、と言える」と説明し、本作のトークイベントは終了した。

 

 

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現在までに決まっている上映館

©2024 House of Lead Belly

北海道:サツゲキ (6月6日~)
青森県:青森松竹アムゼ (近日公開)
栃木県:小山シネマロブレ (5月23日~)
栃木県:宇都宮ヒカリ座 (7月4日~)
東京都:池袋シネマ・ロサ (5月23日~)
東京都:アップリンク吉祥寺 (5月23日~)
東京都:MOVIX昭島 (5月23日~)
神奈川県:シネマジャック&ベティ(5月24日~)
新潟県:シネ・ウインド (近日公開)
新潟県:高田世界館 (近日公開)
富山県:ほとり座(近日公開)
長野県:上田映劇(6月13日~)
愛知県:ナゴヤキネマ・ノイ (6月7日~)
京都府:アップリンク京都 (5月23日~)
大阪府:テアトル梅田 (5月23日~)
大阪府:なんばパークスシネマ (5月23日~)
大阪府:扇町キネマ (5月23日~)
兵庫県:シネ・リーブル神戸 (5月30日~)
兵庫県:シネ・ピピア (近日公開)

岡山県:シネマ・クレール (7月18日~)
広島県:横川シネマ (7月18日~)
広島県:シネマ尾道(7月19日~)
高知県:シネマ四国 (6月13日~)
福岡県:kinocinema天神 (5月23日~)
熊本県:Denkikan (近日公開)
鹿児島県:ガーデンズシネマ (5月26日~)
沖縄県:桜坂劇場 (近日公開)

 

『ロックの礎を築いた男 レッド・ベリー ビートルズとボプ・ディランの原点』あらすじ

 

youtu.be


1888年、開拓が始まったばかりのルイジアナでは珍しい核家族の一人っ子として生まれ育ったハディ・レッドベターことレッド・ベリーは早くからギターを学び、10代の頃から出入りしていたシュリーブポートの赤線地区ファニン・ストリートで演奏していたという。

ダンスパーティでは人気者で、女性にめっぽうもてたことから多くの男たちから反感を買い、トラブルに巻き込まれることもしばしば。初めて刑務所に収監されたときは脱獄に成功したが、2度目はナイフを持って追いかけてくる男を拳銃で殺した罪でテキサス刑務所に投獄された。

しかし、パット・ネフ知事に捧げた曲が気に入られ、35年の刑罰から2年で釈放。その後、アンゴラ刑務所にも収監され、そこで民族音学者ジョン&アラン・ローマックス親子と出会う。アメリカン・ブラック・ソングのルーツを探していた彼らはレッド・ベリーの音楽性に魅了され、O・K・アレン知事に恩赦を求める歌を録音するなど陳情に協力、レッド・ベリーは再び釈放された。

以降、レッド・ベリーはローマックス親子の歌の収集・録音の手伝いを申し出て、刑務所ツアーなどのアシスタントとして参加。その後、ニューヨークへ移住し、ローマックスによって世界に紹介されたレッド・ベリーの音楽は観客を熱狂させた。レッドベリーは、当時のアメリカの黒人に「自分がいる場所から抜け出せる」と見本を示した。1949年に61歳で逝去した後も、彼の曲は多くのミュージシャンによってカバーされ、新たな音楽が生まれ続けている。

 

『ロックの礎を築いた男 レッド・ベリー ビートルズとボプ・ディランの原点』作品情報

©2024 House of Lead Belly

 

2021年製作/80分/アメリカ映画/原題:Lead Belly: Life, Legend, Legacy
監督:カート・ハーン 字幕監修:ピーター・バラカン、朝日順子
出演:レッド・ベリー。ピート・シーガー、ハリー・ベラフォンテ、B・B・キング、ジョーン・バエズ、アンナ・ローマックス・ウッド、アーロ・ガスリー、バーニス・ジョンソン・リーゴン、オスカー・ブランド、クィーン・”タイニー”・ロビンソン、、アーロ・ガスリー、バーニス・ジョンソン・リーゴン、オスカー・ブランド、クイーン・”タイニー”・ロビンソン、ラリー・リッチモンド、マイケル・タフト、クリストファー・ローネル、ジェフ・プレイス、オデッタ

公式サイト:https://leadbelly.negadesignworks.com

 

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