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【Amazon PrimeVideo配信】ドラマシリーズ『フォールアウト』シーズン1(全8話)あらすじ・解説/ 人気ゲームシリーズを実写化!核戦争後のアメリカを舞台に隠された陰謀に迫る

ショーランナーのジェニーヴァ・ロバートソン=ドウォレットとグレアム・ワグナー、製作総指揮のリサ・ジョイとジョナサン・ノーラン等によるドラマシリーズ『フォールアウト』は、1977年以来、絶大な人気を誇るアメリカのゲームシリーズ「Fallout」を実写化した作品だ。

核戦争で文明が壊滅し、人類の大半が死滅した世界を舞台にしたポスト・アポカリプスもので、生き残った者は地上の無法者集団、地下シェルターで民主主義を守り規律正しく生きる人々、暴力的な軍事組織に分かれていた。ある科学者の行方を追って、あるいは巻き込まれる形で、三つの異なる世界の人物が交錯し、やがて思いもよらぬ真相が明かされる。

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地下シェルター“Vault 33”で安全に育てられた若い女性ルーシーをドラマ『イエロージャケッツ』のエラ・パーネルが、軍事組織“B.O.S(Brotherhood of Steel)”に下級兵士として所属するマキシマスにドラマ『モーツァルト・イン・ザ・ジャングル』のアーロン・モーテン、元西部劇スターで今はグールとなり200年以上生きているクーパーに『ジャンゴ 繋がれざる者』や『ヘイトフル・エイト』などタランティーノ作品に欠かせない俳優、ウォルトン・ゴギンズが扮している。

 

Amazon MGMスタジオ、Bethesda他の制作で、2024年4月11日よりAmazon PrimeVideoにて配信中のシーズン1は全8話で構成されている。最初の3エピソードの監督をジョナサン・ノーランが務めている。

配信開始から8日後、シーズン2の制作が公式に発表された。  

 

目次

ドラマシリーズ『フォールアウト』シーズン1作品情報

Amazon Prime Videoで配信中

2024年/アメリカ/45~47分(全8話)/原題:Fallout

原作:ベセスダ・ソフトワークスRPGゲーム『Fallout シリーズ』 原案:グレアム・ワグナー、ジェニーヴァ・ロバートソン=ドウォレット 製作総指揮:ジョナサン・ノーラン、リサ・ジョイ、グレアム・ワグナー、ジェニーヴァ・ロバートソン=ドウォレット、トッド・ハワード 撮影:スチュアート・ドライバーグ 音楽:ラミン・ジャヴァディ プロダクション・デザイン:ハワード・カミングス 美術:アン・バーテック、レジーナ・グレイヴス

出演:エラ・パーネル、アーロン・モートンウォルトン・ゴギンズ、モイセス・アリアス、カイル・マクラクラン、デイブ・レジスター、アナベル・オヘイガン、レスリー・アガムズ、マイケル・エマーソン、ジョニー・ペンバートン、ゼリア・メンデス=ジョーンズ、マイケル・クリストファー、ディル・ディッキー、フランシス・ターナー、サリタ・チョウドリー

 

ドラマシリーズ『フォールアウト』シーズン1あらすじ

Amazon Prime Videoで配信中

2077年アメリカ。西部劇俳優として一世を風靡したクーパー・ハワードは、今は落ちぶれて、娘のジェイニーと共に余興をして回る日々だった。ある日、クーパーが金持ちの子息の誕生パーティーに雇われ、カウボーイ芸を見せていた際、対立国との和平交渉が決裂し、ロサンゼルスが核攻撃を受ける。

 

遠くに上がるきのこ雲を呆然と見つめる人々、すぐに爆風で豪華な邸宅のガラスが破壊され、破片を浴びた人々は悲鳴を上げ、逃げ惑う。

あわててシェルターに逃げ込む人の間では諍いが起きていた。多くの人が車に乗り込み避難しようとする中、クーパーはジェイニーを抱えて馬に乗って走り出した。

 

それから219年後、人類の大半が死滅し、文明が滅びた中、Vault-Tec社が全米に建設したシェルター「ヴォールト」で生き延びていた市民がいた。彼らは全員、青いジャンプスーツを着て、手首に「ピップボーイ」と呼ばれる装置を付け、秩序正しい規範を設け、民主主義社会を構築し、全員がなんらかの仕事に従事していた。

彼らは放射線レベルが下がればシェルターを出て、国を立て直そうという大きな目標を掲げていた。

 

国中にいくつもある「ヴォールト」のうち、ロサンゼルスにあるVault 33で生まれ育ったルーシーは結婚の準備を始めていた。相手はVault 32からやって来る顔も知らない男性だったが、人類の未来のために自身が子どもを産むことに希望を持っていた。しかし、やって来たのはモルダヴァーという女性に率いられた地上(ウェイストランド)のならず者たちで、ルーシーは結婚相手に成りすまし自分を殺そうとした男をなんとかしとめるが、シェルター内では多くの犠牲者が出ていた。その挙句、ヴォールトのカリスマ的リーダーだったルーシーの父ハンクが連れ去られてしまい、彼女は父を助け出すために地上に出て行く決心をする。

 

マキシマスは子どものころ、核戦争で、家も家族も失い、一人生き延びて、軍事組織「Brotherhood of Steel(B.O.S.)」に保護され、下級兵士としての毎日を送っていた。

 

上官や仲間から暴力を受ける日々で、鬱屈を抱えていた彼だったが、ある日、巨大な鎧t-60パワーアーマーを装備したタイタスと呼ばれる「騎士」(ナイト)の 従者に任命される。

初めての大役に胸躍らせるマキシマスだったが、初任務の際、ナイトが放射線を浴びて狂暴化した熊に襲われ、マキシマスの援護が遅れたため致命傷を負ったナイトは死亡してしまう。

 

マキシマスはナイトに成りすます決心をして自らt-60パワーアーマーを装備し、エンクレイブという組織から貴重な技術を持って脱走した科学者を追跡するようにという本部からの報せを受け、ひとりで任務を全うしようとする。

 

一方、クーパー・ハワードは、致死レベルの放射線を浴びて「グール」になり、2世紀を経てもまだ生きていた。ただし、定期的に小瓶に入った液体を摂取しないと死んでしまうため、その液体を購乳する手段として、かつて映画スターとして磨いた射撃の技術をいかした賞金稼ぎとなっていた。

 

地上に出たルーシーはフィリーという街にたどり着くが、そこにはシェルター育ちの彼女が想像だにしていなかった騒然とした景色が広がっていた。人々は皆、荒っぽく、いたるところに殺伐とした雰囲気が漂っていた。彼女は、街の住民に、モルダヴァーについて聞いて回るが、芳しい情報は得られない。

 

やがて、この街でルーシーとマキシマスとクーパーが出合うこととなる。彼らはそれぞれ、逃走した科学者と深く関わることになるが・・・。

 

果たして科学者が持ち出した技術とはどのようなものなのか。なぜ、BOSが彼を追うのか。そして父が囚われている場所にルーシーはたどり着くことが出来るのだろうか。

 

ドラマ『フォールアウト』感想と解説

Amazon Prime Video

ドラマ『ウエストワールド』のジョナサン・ノーランとリサ・ジョイが製作するドラマシリーズ『フォールアウト』は、同名のRPGゲームの実写化作品だが、世界観を踏襲し、ユニークな設定やアイテムを忠実に再現するなど原作に限りなく敬意を払いつつも、主人公のひとりであるルーシー(エラ・パーネル)はゲームには登場しない新キャラクターであるなど、大胆な脚色がなされている。

ゲームファンに配慮しつつ、ゲームを知らない層にも受け入れやすい世界を構築していると言えるだろう。

 

エピソード1が始まるや「The End」というタイトルが現れるように、物語はこの世の終わりからスタートする。

ロサンゼルス郊外の屋敷とそこに集う人々の光景は、一見、1950年代風の生活様式に見えるが、実は時は2077年。1950年代に高まった冷戦期の核戦争の緊張感をそのまま引き継いだレトロフューチャー社会で、テレビは対立国との和平交渉がうまくいっていないと再三伝えているが、パーティーの最中だからと何度も消されてしまう。危機感に包まれながらも直視しようとしない様子が現実社会を伺わせ、エンターティンメント作品でありながらも社会派作品としての面白さも十分備えているように感じられる。

ジョニー・キャッシュの1955年の「so doggone lonesome」や、映画『南太平洋』の主題歌「Some Enchanted Evening」、ナット・キング・コールの「Orange Colored Sky」など懐かしの名曲の数々が全編に響くのも耳に心地よい。

 

パーティーの開催中、ロサンゼルスが核攻撃を受け、人々はパニックに包まれる。そこに居合わせていたのが、元西部劇スター俳優のクーパー・ハワード(ウォルトン・ゴギンズ)で、物語はすぐに219年後に跳ぶのだが、クーパーは放射線を大量に浴びたためにグールとなって2世紀以上生き延び、すっかり心の荒んだ懸賞稼ぎとして再登場する。

 

また、ルーシーという若い女性は地下シェルター「Vault 33」で安全に身を守られて暮らして来たが、ある日、モルダヴァーという女性に率いられた地上(ウェイストランド)のならず者たちに侵入を許し、父(カイル・マクラクラン)をさらわれてしまう。彼女は生まれて初めて地上に出て父を探すことを決意。ルーシーが案内役となり、我々も、崩壊後の殺伐とした世界を目の当たりにすることになる。

 

ルーシーは街に向かう途中、科学者と出会うが、彼はルーシーにシェルターに帰るよう言い聞かせ、この世界は残酷な人間でなければ生きていけないと諭す。

 

その言葉通り、彼女の純粋さは地上の残虐性により徐々に歪んでいくが、完全に堕落することはなく、彼女はあくまでも前向きにエネルギッシュに新しい環境に対応していく。

やがてルーシーはクーパ―と出逢い、砂漠を引きずり回されたり、臓器売買の目的で売られるなど散々ひどい目に遭うのだが、二人は終始、対極の人間として描写される。

クーパーは、もともと人の良い正統派西部劇スターだったのだが、やがてあることでキャリアを損ねることになり、それと合わせるように、出演している作品も、倒れている悪党を撃ち殺すという不本意な演技を要求されるようになっていく。219年後の世界では彼はすっかりアンチ・ヒーローで、ルーシーを縄でつないで砂漠を引き回すシーンなど明らかにマカロニ・ウエスタンのあの名作のオマージュである。「西部劇」の歴史をひとりのキャラクターで表現しているのが実に面白い。  

 

その2人にもうひとり、軍事組織「Brotherhood of Steel(B.O.S.)」に所属するマキシマス(アーロン・モーテン)が加わる。ルーシーとマキシマスは社会階層的には真逆の立場にいる二人だが、極端に狭い世界で生きて来たために未知のものが多いなど共通点もあり、二人とも純真さをまだ失っていない。

 

ある回ではそんなふたりの「純真」さが廃墟の線路を舞台にためされるシーンがあるのだが、非常にスリリングであり、手に汗握らせる演出がなされていて、めっぽう面白い。

また、B.O.S.といえば、核戦争後を生きるため騎士が装着する鎧である「T-60パワーアーマー」が特徴的だが、CGに頼らないアナログ感が素晴らしい。

 

そんな3人を現在進行形で描いていくのと並行して、「Vault 33」に残ったルーシーの弟ノーム(モイセス・アリアス)が、信頼していた評議会に疑念を抱き、密かに調査する姿が描かれていく。当初、「Vault」という組織は典型的なアメリカのリベラル層を風刺するものに見えたが、まだまだずっと奥が深いようだ。

 

さらに原爆が投下される前にタイムスリップし、クーパーの過去が語られて行く。こうした構成の中、世界の終わりを引き起こした原因の真相がゆっくりと明かされて行くのである。

 

脚色の面白さと俳優の熱演に加えて、ハワード・カミングスによるプロダクション・デザインも見事で、ミュータント・クリーチャーのガルパーの造形なども、グロテスクでありながらオリジナリティ溢れており忘れがたい。

 

全体的には血みどろなハードな場面が多いが、ところどころ笑えるユーモアも満載で、屈指のシリーズとなりそうだ。

(文責:西川ちょり)

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