森を舞台に、少年院を出所した若者と生きづらさを抱えた彼の叔母との“心の触れ合い”を描く映画『もういちどみつめる』が2025年11月22日(土)より新宿K's cinema他にて全国順次公開される。
この度、その予告編が解禁された。
監督を務めたのは、釜山国際映画祭や大阪アジアン映画祭など多くの国内外の映画祭で上映され好評を博した映画『HER MOTHER 娘を殺した死刑囚との対話』(2016)の佐藤慶紀監督。『淵に立つ』(2016)、『よこがお』(2019)、『波紋』(2023)など全ての作品で圧倒的な演技を魅せてきた名優、筒井真理子と、第78回ロカルノ国際映画祭インターナショナル・コンペティション部門で最高賞となる金豹賞とヤング審査員賞をダブル受賞した三宅唱監督の『旅と日々』(2025)で大注目の髙田万作を迎え、生きづらさを抱えた2人の“心の触れ合い”と“再生”が描かれる。
民法で大人扱いとなったことで、2022年の少年法の改正で18、19歳を厳罰化することになったことに疑問を持った佐藤監督が、「生きづらさ」を抱える思春期の青年と、同じく「生きづらさ」を抱えて生きてきた大人、さらに繊細でどこにでも生きていけるわけではない珍しいコケを探す女子学生との交流を通して、言葉にして対話をすることの重要性を描く。

筒井真理子が演じるのは、一見他の人と変わらないように見えるが、他者とのコミュニケーションに生まれながら難を抱える典子という女性。また、高田万作は、複雑な家庭環境や過去を抱える 18 歳の青年役・ユウキを演じ、見事にW主演を果たした。
その他、典子の理解者である明夫役で、佐藤監督の『HER MOTHER 娘を殺した死刑囚との対話』にも出演したにしやま由きひろ、ユウキの父・和也役で『野のなななのか』などの内田周作、ユウキの母・ミキ役で『忌怪島/きかいじま』などの川添野愛が出演。
典子が運営するキャンプ場にやってくる大学生役には、ユウキの従兄弟・健二役で第30回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストで DD セルフプロデュース賞受賞の徳永智加来、由香理役で「STARDUST × sweet モデルオーディション」で、3000 人の応募者の中からグランプリを受賞しデビューした中澤実子、隆史役でドラマ「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」の吉開湧気、真由美役で、「第43回ホリプロタレントスカウトキャラバン」に合格し、ガールズグループHUNNY BEE (ハニービー)の一員として活動中のリコが出演する。
このたび、にしやま由きひろをはじめ、キャスト6人のコメントが届いた。
キャスト6人からのコメント
にしやま由きひろ【昭夫役】

前作『HER MOTHER』に続き佐藤作品に出演した今回、主人公2人が生き辛さを感じる現在の社会の象徴になることを意識しました。
片方には過度の干渉や優しさの押し売りを、またもう一方には厳しい目を向けたりと、昨今のSNSを反映するような現社会に通念する〈善〉や〈正義感〉といった道徳観を振りかざす障害になるよう心掛けました。
そんな社会でも純真に、直向きに生きようとするスクリーン上の2人の姿から佐藤監督なりのメッセージを大勢の方に感じて頂けることを熱望しております。ご来場お待ちしてます。
徳永智加来【健二役】

健二は大学生らしい陽気さと、時に不器用な優しさを併せ持つキャラクターです。
彼の中にある小さな葛藤や思いやりをどのように表現するかを意識して撮影に挑んだのを覚えています。
撮影は涼しさを感じる緑の広がる山の中、その場の静けさや、独特の空気感は劇場の中でもきっと伝わると思います。
スクリーンの向こうの世界と同じ空気を劇場でも感じてもらいながら、それぞれの登場人物が抱える「葛藤」にもぜひ注目して観ていただきたいです。
観てくださる一人一人の心に、違った景色が広がる作品だと思います。
ぜひ劇場で、自分だけの楽しみ方を見つけて観ていただけたら嬉しいです。
中澤実子【由香理役】

由香理は自分の軸をしっかり持ちながらも、多くを語るタイプではありません。 けれど、どこか気になってしまうような、不思議な空気をまとっています。 自然の中に溶け込むように、彼女の静かな存在感を大切に演じました。 生きづらさを抱え心を閉ざしていたユウキと、共通の話題から少しずつ近づく二人。
その繊細な距離感と、二人だけの穏やかな空間にも注目してほしいです。 この作品を通して、「大切な人や身近な人と、何気ないことでも対話をする大切さ」を改めて感じていただければと思います。
リコ(HUNNY BEE) 【真由美役】

生きているうえで、誰もが感じたことのある“生きづらさ”。
明るくてはつらつな真由美ですが、彼女もきっと心の奥底では生きづらさを感じていたと思います。
自分が抱えている息苦しさを言葉にすること、それがどれほど難しく、勇気のいることか。
全てがとてもリアルかつ繊細に描かれているこの作品は、皆様の隣で寄り添ってくれると思います。
是非、劇場でご覧ください。
内田周作【和也役】

誰かや何かを大切にしたい——。ただそれだけの思いと、自分にできることの小ささ。
そのスキマからはたくさんの余計なものが生まれてきてしまうように思います。
美しい伊那の高原の真ん中でそんなことを考えていました。
スクリーンに映っている景色や聞こえてくる言葉にふと、誰かの顔が思い浮かんで、久しぶりに電話をかけてみる——。
そんなふうに、この作品と劇場で過ごした時間が、誰かの毎日のちょっとしたきっかけになれば幸いです。
川添野愛【ミキ役】

自然というのはいつだって誰にだって、無条件に、癒しになり、脅威になる。生きづらい者たちが何かを探して交わせたのは、やはりあの森だった。何をしてくれるわけでもない。ただそこで風・音・匂いすべてを包み込むように届けて、ただそこにいてくれる。
母が辿り着いた気持ちはあまりにも残酷だけど、彼女もまた“生きづらい”にがんじがらめになっていた。
“生きづらい”を心のどこかに少しでもお持ちの方、どうぞあの森を観にいらしてください。劇場でお待ちしております。
映画『もういちどみつめる』あらすじ

山のキャンプ場を営む典子の元に突然の来訪者がやって来る。それは、1 年前に少年院を出所した甥っ子のユウキ。ユウキは、典子の姉である母親を探していると、このキャンプ場にやってきたが、典子が義理の兄に電話すると、ユウキと義理の兄はうまくいっていないとのこと。ユウキにキャンプ場でバイトをさせてあげ、「私にできることは、あなたの話を聞くことだけ」と寄り添う典子は、近所に住む明夫によると、人の表情を読み取るのが苦手で、言葉が大事。「世界の見方は皆同じじゃない」と言う典子に、次第に心を許していくユウキ。
そんなある日、典子の息子でユウキの同い年の従兄弟である健二が、大学の友達とキャンプにやってくる。森の植物や星など、ユウキと由香理が共通の話題で盛り上がるのを見て嫉妬した健二は...。
映画『もういちどみつめる』作品情報

2025/日本語/STEREO/ヨーロピアンビスタ/113min
監督・脚本・編集・プロデューサー:佐藤慶紀 プロデューサー:小林良二 撮影:喜多村朋充、大渡仁 録音・スチール:近藤俊哉 助監督:齋藤成郎 メイク:桐山雄輔 衣裳:チバヤスヒロ 音楽:中野晃汰 配給:渋谷プロダクション 制作 Aerial Films
出演:筒井真理子、髙田万作、にしやま由きひろ、徳永智加来、中澤実子、吉開湧気、リコ(HUNNY BEE)、内田周作、川添野愛