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第20回大阪アジアン映画祭で上映された陸前高田を舞台にしたフィリピン・日本合作映画『この場所』日本公開が決定!監督のコメントも到着

映画『この場所』は、フィリピン人のエラが、3.11の被害を受けた腹違いの妹・レイナと出会う、“心の復興”と“アイデンティティの再生”を描いた珠玉の物語だ。

 

東日本大震災の直後から、“アーティストの表現で大切な記憶を取り戻し、新しい未来を作る”ことを目的とする「陸前高田アーティスト・イン・レジデンスプログラム」に参加するなど、アート活動のために東北への訪問を重ねてきたフィリピン人監督のハイメ・パセナ2世

復興を見守る中で、自身の苦悩と向き合っていた同監督は、東北の地と人々の中に“ピース(平和)”を見出し、逆に救われたと話す。そしてこの経験を元に、過去を忘れて生きてきたフィリピン人のエラが生き別れた父の葬儀のために陸前高田を訪れ、腹違いの妹・レイナと出会って互いの想いをぶつけ合い、心を通わすまでの“心の復興”と、東日本大震災の傷跡を背景とした“アイデンティティの再生”の物語を紡いだ。

 

©2024 映画「この場所」Film Partners

エラ役には、2019年に『ビリーとエマ』でセクシャリティに揺れる高校生・エマを演じ、権威あるフィリピン映画芸術科学アカデミー賞にて最優秀女優賞にノミネートされたギャビー・パディラ。2024年の大阪アジアン映画祭のコンペティション部門に正式出品された主演作『ハイフン』(2023)でも日本人キャストと共演するなど、日本に縁の深いフィリピン人俳優だ。

橋本レイナ役には、第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、2024年アカデミー賞日本代表に選出された映画『PERFECT DAYS』で、ヴィム・ヴェンダース監督に見いだされ、役所広司演じる主人公の姪を好演した中野有紗。モデルとして活躍する一方、同作で初めての演技ながら2024年おおさかシネマフェスティバルで新人女優賞を受賞した。

レイナの母・橋本あつ子役に、近年も『一月の声に歓びを刻め』(2024)、『嗤う蟲』(2024)などで存在感を放つ片岡礼子。その他、エラの叔母・マイタ役に『PLAN75』(2022)の市川シェリル、その夫・安倍左太役に『バベル』(2006)の二階堂智、市役所の職員・西役に韓国映画『ユンヒへ』(2019)の薬丸翔と、国内外で活躍する役者が集結した。

 

フィリピン最大の独立系映画祭であるシネマラヤ映画祭では最優秀監督賞、最優秀主演女優賞、最優秀撮影賞、最優秀美術賞の4冠を達成! 監督は、日本映画で描かれるフィリピン人像が偏っていると長年考えており、日本のコミュニティ・社会に溶け込んだエラとレイナの父・エマンを描くことで、ディアスポラ問題(本来の故郷や国家から離れて世界各地に離散した人々や民族が、異なる社会や文化の中でアイデンティティや権利、帰属意識、差別・排斥などの課題に直面する現象)に切り込んでいることも評価され、フランスのヴズール国際アジア映画祭でも学生審査員賞を受賞。大阪アジアン映画祭、モスクワ国際映画祭にも正式出品されるなど、各国で評価・受賞が続いている。

 

この度、映画『この場所』が2026年春に新宿K’scinema、フォーラム仙台、フォーラム盛岡にて公開されることが決定! ポスタービジュアルとハイメ・パセナ2世監督のコメントが届いた。

 

監督:ハイメ・パセナ2世 コメント

映画『この場所』は、私が東北地方でビジュアルアーティストとして活動した10年以上に渡る旅路から生まれました。その中で、2011年の東日本大震災と津波によって変貌を遂げた陸前高田の回復力を目の当たりにしました。壊滅的な津波は、私自身の心の激動期と重なり、街の復興と私自身の静かな回復の両方から、この映画の物語が紡ぎ出されました。本作は、13年間のアーカイブ写真と映像を基に、ディアスポラ(離散)と家族という視点を通して、記憶、喪失、そして再生を深く考察しています。

 

今回、『この場所』が誕生の地・日本で上映されるにあたり、この作品を感謝のしるしとして皆様にお届け出来れば嬉しいです。本作は、フィリピン人と日本人の間の揺るぎない絆、そして本当に大切なものを再建するために記憶することの力の証しです。

 

映画『この場所』あらすじ

東日本大震災から十数年後の岩手県陸前高田市。28 歳のフィリピン在住の女性・エラ(ギャビー・パディラ)は、日本人の橋本あつ子(片岡礼子)と再婚した父・エマンの訃報を聞き来日し、腹違いの妹・橋本レイナ(中野有紗)に出会う。父の残した遺言書を巡り姉妹は激しく衝突するが、エラには、遺産が必要な複雑な事情があった…。

またエラは、この街が経験した大きな震災について、そして住む人々にもたらしている傷の深さを理解していき…。

 

映画『この場所』作品情報

2024年製作/86分/日本・フィリピン合作映画/原題(英題):This Place [Kono Basho]

出演:ギャビー・パディラ、中野有紗、二階堂智、市川シェリル、薬丸翔 / 片岡礼子、安藤ネリーサ、金野政利、森山茂雄、村上新一、長谷川順一   

監督・脚本 ハイメ・パセナ2世 エグゼクティブプロデューサー:ジョン・ブライアン・ディアマンテ、ハイメ・G・バルタザール、ダン・ヴィレガス、アントワネット・ハダオネ、レイン・アン・デ・ガスマン プロデューサー:ダン・ヴィレガス、曽我満寿美、 レオヴィ・マルケス、ハイメ・パセナ2世 ラインプロデューサー:キャツィ・カタラン アソシエイトプロデューサー:エンジェル・トーマス、中村知之 撮影:ダン・ヴィレガス 美術:イーロ・イヴ・フランシスコ 編集:マーヤ・イグナシオ 音楽:レン・カルボ サウンドデザイン:アレン・ロイ・サントス 照明:佐々木昭博 録音:豊田真一 助監督:ダフネ・エスプラナ、森山茂雄 衣装:ザーラ・ルオヤン、高橋英治 ヘアメイク:中林希美子 制作担当:赤間俊秀 通訳:今井杉子

主題歌:『星のメロディー』歌・作詞作曲:まっと 編曲:ヤナギサケビ

製作:Project 8 Projects Mentorque Productions 後援:陸前高田市 協力:陸前高田市AIR実行委員会 Harmony inc 制作・配給:Spanic Films

公式サイト:spanic-films.com/konobasho

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