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第23回「宝塚映画祭」の開催日は11月18日(金)〜24日(木)!(会場:シネ・ピピア売布)

第23回宝塚映画祭が 11月18日(金)〜24日(木)に、宝塚シネ・ピピア売布にて開催されます。

 

毎年秋に開催される宝塚映画祭は、2000年より兵庫県宝塚市で開催されている市民映画祭です。

かつて、宝塚の武庫川沿いには日本映画黄金期の一翼を担った映画撮影所、宝塚映画製作所がありました。モダンなスタジオ 2棟とオープンセット、最新鋭の設備を有したこの撮影所では、時代劇からミュージカル、人情喜劇、そして文芸大作まで多種多様な映画、176作品(通称「宝塚映画」)と、数千本にのぼるテレビ映画が製作され、撮影所周辺では、黒澤明木下恵介小津安二郎といった巨匠や、森繁久弥三船敏郎原節子司葉子など銀幕スターの姿があちこちで見られたといいます。

宝塚がまさに「映画の都」だった時代の記憶を次の世代へと伝えるという趣旨のもと、宝塚映画祭では、毎年宝塚映画に関する特集を企画し、作品の発掘と上映を、地域の重要な文化拠点である宝塚シネ・ピピア売布で行っています。

 

第23回は貴重な9本の宝塚映画と、「阪神間映画傑作選」として、吉永小百合が主演し阪神間各地で撮影された懐かしの青春映画2本が上映されます。さらに「大森一樹監督70歳記念<大森一樹スペシャル>」と題して、村上春樹の原作を映画化した『風の歌を聴け』など大森監督作品3本が上映されるなど豪華ラインナップになっています。

写真提供元:宝塚映画祭実行委員会(シネ・ピピア内)

 

 

第23回宝塚映画祭上映作品紹介

(映画祭プレスリリースより)

宝塚映画名作選 宝塚映画製作所で作られた名作の数々を一挙上映!

『照る日くもる日 前篇』 〜宝塚映画がおくる本格時代劇決定版!

1954年/宝塚映画/35mm/白黒/87分

監督:志村敏夫 原作:大佛次郎 脚色:松浦健郎 撮影:栗林実 美術:西七郎 音楽:山田貴四郎 録音:八島宇一郎 照明:田辺憲一

出演:嵐寛寿郎大河内傳次郎、中川晴彦、雅章子、扇千景、南悠子、長門裕之、杉山昌三九、上田吉二郎、芝田信、香川良介、桜井勇、嵐三右衛門、澤村國太郎、大邦一公、市川男女之助、河部五郎、寺島貢

◆日本映画創世記の大正15年(1926年)、マキノ省三衣笠貞之助ら3社が競合して製作して以来、その後も幾多映画化されてきた大佛次郎原作を宝塚映画で嵐寛寿郎大河内傳次郎2大スター共演で製作した本格時代劇決定版。ご存知アラカン鞍馬天狗を思わせる倒幕派の急先鋒・白雲堂に扮し、大河内は幕府の暗殺団の主領。さらに2つに引き裂かれる恋の行方!

 

『照る日くもる日 後篇』 〜幕末が舞台の、手に汗握る時代劇エンターテイメント!

1954年/宝塚映画/35mm/白黒/96分

監督:志村敏夫 原作:大佛次郎 脚色:松浦健郎 撮影:栗林実 美術:西七郎 音楽:山田貴四郎 録音:八島宇一郎 照明:田辺憲一

出演:嵐寛寿郎大河内傳次郎、中川晴彦、雅章子、扇千景、南悠子、長門裕之、杉山昌三九、上田吉二郎、芝田信、香川良介、桜井勇、嵐三右衛門、澤村國太郎、大邦一公、市川男女之助、河部五郎、寺島貢

徳川幕府を覆し新しい日本を築こうとする勤王の志士と、これに対抗する幕府の暗殺団の間で、連日死闘を繰り返していた。暗殺団の主領たちを追って、舞台は江戸から京に移って繰り広げられる後篇。暗殺団や新撰組と戦うアラカンとその弟子・中川。その相対する幕府側の娘・扇千景との悲恋や、敵対する親子…。監督の志村敏夫は宝塚や新東宝で活躍した職人監督。

 

<佐伯幸三生誕110年・没後50年>

『女の学校』 〜「女の学校=宝塚」ならではのスター総出演の青春映画

1955年/宝塚映画/35mm/白黒/103分

監督:佐伯幸三 原作:大林清 脚本:中川順夫 潤色:沢村勉 撮影:岡崎宏三 音楽:河村篤二、中井光晴 美術:西田善一 録音:志木田隆一 照明:中江啓介

出演:鶴田浩二寿美花代雪村いづみ扇千景、環三千世、藤原釜足、淀かほる、鳳八千代水谷八重子(初代)、浦路洋子、中村マサ子、夏亜矢子、和歌鈴子、細川ちか子、小川虎之助、南悠子、中林真智子

◆宝塚映画と宝塚歌劇の女優陣が総出演の宝塚ならではの青春映画。神戸の女子高に、新任教師・寿美がやってくる。同僚の教師に生徒たち憧れの鶴田(当時は青春スター)。生徒役で扇千景がピアノ(ショパン!)、雪村は華麗な歌声を披露。他に浦路洋子、環三千世らの現役タカラジェンヌ。姉が淀かほる、鳳八千代、他に初代水谷八重子、細川ちか子など出演の豪華学園ドラマ。

 

宝田明追悼>

小早川家の秋 〜名匠と名優たちによる日本映画史に残る傑作

1961年/宝塚映画/35mm/カラー/103分

監督・脚本:小津安二郎 脚本:野田高梧 撮影:中井朝一 美術:下河原友雄 音楽:黛敏郎 録音:中川浩一 照明:石井長四郎

出演:中村鴈治郎原節子新珠三千代司葉子小林桂樹宝田明森繁久弥加東大介、団令子、白川由美山茶花究藤木悠笠智衆杉村春子望月優子浪花千栄子

◆名匠・小津安二郎が宝塚映画に出向し、東宝オールスター総出演で監督。時代の波に揺れる伏見の造り酒屋・小早川家の道楽者の隠居老人(二世・雁治郎)と、跡を継ぐ子供たちの顛末を描く。宝塚を中心に京阪神各地でロケ。雁治郎をはじめ原節子新珠三千代ら豪華出演陣の競演が光る。宝田明は小津作品唯一の出演となったが、小早川家の末娘・司葉子の恋人を好演。

 

旅愁の都』 〜大阪、神戸、本土復帰前の沖縄が舞台の異色恋愛劇

1962年/宝塚映画/35mm/カラー/93分 ※フィルムに退色あり

監督:鈴木英夫 脚本:井手俊郎 撮影:逢沢譲 音楽:池野成 美術:加藤雅俊 録音:鴛海晄次 照明:石川緑郎

出演:宝田明、星由里子、浜美枝乙羽信子、船戸順、藤木悠志村喬淡路恵子中北千枝子、黛ひかる、上原謙、堀川真智子、船戸順、江川宇禮雄、内田朝雄

◆スリラー、サスペンスの名手・鈴木英夫が宝塚で撮った監督作品。舞台は大阪。建築技師の宝田は、叔母の店で働くことになった星の清純な美しさに一目惚れ。しかし、彼女には人に言えない過去があった…。大阪、神戸、そして沖縄を舞台に二人の愛の行方を観光名所たっぷりに織り込んで描く。当時沖縄は返還前のアメリカ統治下。まさに本土からは旅愁の都だった。

 

宝田明追悼><高峰秀子 十三回忌>

『放浪記』 〜林芙美子の自伝的小説を映画化した文芸映画の傑作

1962年/宝塚映画/35mm/白黒/123分

監督:成瀬巳喜男 原作:林芙美子 脚本:井手俊郎田中澄江 撮影:安本淳 音楽:古関裕而 美術:中古智 録音:中川浩一 照明:石井長四郎

出演:高峰秀子田中絹代宝田明加東大介小林桂樹草笛光子仲谷昇伊藤雄之助加藤武、文野朋子、多々良純

林芙美子の原作で高峰とともに『浮雲』など数々の名作を創り出した成瀬が、彼女の自伝を元に描き出した人間哀歌。行商人の娘として各地を歩き、様々な職を転々としながら男と出会い詩作にはげむ主人公の、儚き女の一生。成瀬、高峰の二人にとって最も好きな作品だという。高峰のあまりに素晴らしい凄みある演技、詩人仲間で後に結ばれる宝田の飄々とした演技も見もの。

 

 

木下惠介生誕110年>

『なつかしき笛や太鼓』 〜名匠・木下惠介監督が唯一宝塚で監督した爽やかスポ根映画!

1967年/木下プロ・宝塚映画・東宝/35mm/カラー/114分

監督・脚本:木下惠介 撮影:楠田浩之 照明:下村一雄 音楽:木下忠司 録音:中川浩一 美術:松山崇 照明:下村一夫 録音:中川浩一

出演:夏木陽介大空真弓浦辺粂子、小坂一也、藤原釜足、谷口完、初音礼子、高橋洋一郎、加藤文穂、山口真代、大田康人、前川忠夫、仁礼功太郎

◆『香華』の後、1964年に松竹を退社した木下惠介監督、初の他社作品となり唯一宝塚で撮った作品。瀬戸内海の小手島で起きた実話を基に、熱血教師と駄目っ子生徒たちの交流を快活に描いていく人間愛に満ちた快作。瀬戸内海の美しい自然を背景に、バレーボールをモチーフにした郷土色豊かな爽やかスポ根映画!   クライマックスのバレーボールの決勝戦の素晴らしいこと!!

 

丸山誠治生誕110年><木下惠介生誕110年>

『父子草』 〜木下恵介渥美清のために脚本を書いた「寅さん」の原点

1967年/東宝・宝塚映画/35mm/白黒/85分

監督:丸山誠治 脚本:木下恵介 撮影:梁井潤 音楽:木下忠司 美術:松山崇 照明:下村一夫 録音:中川浩一

出演:渥美清淡路恵子石立鉄男、星由里子、大辻伺郎、浜村純

木下恵介渥美清のために脚本を執筆し、「寅さん」の原点といわれる名作。全国の工事現場を転々と渡り歩く初老の男(渥美)とおでんの屋台で知り合った貧しい予備校生(石立鉄男)との心のふれあいを描いた感動作。渥美清が年配の酒飲みで喧嘩っ早い男に扮し、笑わせ泣かせる絶妙の名演。二人を見守る屋台のおかみの淡路恵子もいい味! 「父子草」の意味を知ってさらに感動!

 

『ゴー! ゴー! 若大将』 〜9月に最後のコンサートを行った加山雄三の若い頃の魅力満載!

1967年/東宝・宝塚映画/35mm/カラー/89分

監督:岩内克己 脚本:田波靖男 撮影:斎藤孝雄 音楽:広瀬健次郎 美術:松山崇 照明:下村一夫 録音:鴛海晄次

出演:加山雄三、星由里子、田中邦衛江原達怡飯田蝶子有島一郎、中真千子、北龍二浜木綿子、中川さかゆ、若原啓子、木崎国嘉、荒木保夫、横森久、樋口旭、曽我廼家五郎八、原哲男桑原和男

◆全17作製作された加山雄三主演大ヒットシリーズ第11作。スポーツ万能な若大将の活躍と、青大将(田中)とのヒロイン(星)をめぐる恋のバトルなどが繰り広げる青春映画の名編。宝塚映画とあって加山が通う京南大学を関西大学で撮影、また出場する京都での自動車ラリーや琵琶湖での駅伝など関西ロケがいっぱい。9月に最後のコンサートを行った加山の魅力が炸裂!


 

阪神間映画傑作選

『青春のお通り 愛して泣いて突っ走れ!』 〜昨年の宝塚映画祭で大好評だった『青春のお通り』の続編

1966年/日活/35mm/カラー/89分

監督:斎藤武市 原作:京都伸夫 脚色:三木克巳 撮影:萩原憲治 音楽:小杉太一郎 美術:坂上武玄 照明:大西美津男 録音:片桐登司美

出演者:吉永小百合、浜川智子、松原智恵子浜田光夫、藤村有弘、香月美奈子、下絛正巳、高野由美、杉江弘、進千賀子、嵯峨善兵、原恵子、小園蓉子、北龍二初井言栄原泉

◆テレビ作家の家にお手伝いさんとして住み込んだ桜子(吉永小百合)は、久子(浜川智子)の兄・圭太(浜田光男)に思いを寄せるが、中子(松原智恵子)も好意を持っている。ある日、圭太が中子や久子と旅行に出たと知り、失恋したと思い込んだ桜子は傷心の旅に出るが、これには訳があった—。吉永小百合の関西弁がよく似合う。(河内厚郎

 

『青春の風』〜吉永、和泉、山本の三人娘が神戸の街を舞台に活躍する青春明朗大作

1966年/日活/35mm/カラー/83分

監督:西村昭五郎 原作:京都伸夫 脚色:才賀明 撮影:姫田真佐久 音楽:林光 美術:横尾嘉良 照明:岩木保夫 録音:沼倉範夫

出演:吉永小百合山本陽子和泉雅子浜田光夫杉良太郎川口恒小沢栄太郎坪内美詠子、E・H・エリック、イーデス・ハンソン、橘和子、藤竜也、渋沢詩子、川地民夫殿山泰司、河上喜史郎

◆神戸の短大に通う光子(吉永小百合)愛子(和泉雅子)峯子(山本陽子)はフェンシングサークルの仲間。卒業後、光子は実家の小豆島に帰り、愛子は神戸で兄の圭介(浜田光男)と暮らしレンタカーの仕事を、峯子は道後温泉の実家で花嫁修業をしていたが、ひょんなことから光子と峯子は愛子のアパートに転がり込み、圭介をめぐる恋の騒動が—。(河内厚郎

 

 大森一樹監督70歳記念<大森一樹スペシャル>

シネ・ピピア顧問で芦屋市在住の大森一樹監督は、自主映画、アイドル映画、恋愛映画、ファンタジー、そして『ゴジラ』まで、幅広い活躍をみせる日本を代表する映画監督です。今年、監督歴45年、70歳を迎えられたのを記念し、宝塚ゆかりの作品など代表作3本を上映!

 

風の歌を聴け村上春樹の原作を映画化

1981年/シネマハウト・ATG/35mm/カラー/100分

監督・脚本:大森一樹 原作:村上春樹 撮影:渡辺健治 音楽:千野秀一 録音:中沢光喜 照明:釜田幸一 製作:佐々木史朗 スチール:糸川燿史

出演:小林薫真行寺君枝巻上公一坂田明、蕭淑美、室井滋、広瀬昌助、狩場勉、古尾谷雅人黒木和雄、西塚肇

村上春樹の初期作品で群像新人文学賞を受賞した同名小説を、村上と同じ芦屋の中学出身の大森一樹が脚色・監督。21歳の大学生の「僕」の「1970年8月8日に始まり、8月26日に終わる」ひと夏の物語。夏休み、生まれ故郷の海辺の街に帰省した主人公の大学生と、馴染みのバーでの旧友との再会や、女の子との出会いを描く。神戸、芦屋でオールロケした隠れた傑作。

 

『「さよなら」の女たち』 阪神間、宝塚の街でロケしたお正月映画!

1987年/東宝/35mm/カラー/92分

監督・脚本:大森一樹 撮影:水野尾信正 音楽:かしぶち哲郎 美術:酒井賢 録音:宮内一男 照明:栗木原毅

出演:斉藤由貴雪村いづみ古村比呂朝加真由美竹内力山田辰夫木之元亮斉藤洋介室井滋、又野誠治、斉藤亮太、植田芝暁、上田耕一石橋雅史、浅芽陽子、伊武雅刀

◆1986年お正月『恋する女たち』、翌87年お盆『トットチャンネル』に続き、同じ斉藤由貴主演×大森監督のコンビで2年連続お正月興行となったアイドル映画。映画興行の花「盆暮れ正月」を同じ監督という快挙! 札幌、小樽から神戸、宝塚を舞台に旅に出た多感な少女(斉藤)が自分を見つけるまでの成長物語。建て替え前の宝塚大劇場、花の道など宝塚の風景もいっぱい!

(※11/20(日)12:00の回の上映後、大森監督の舞台挨拶が予定されています。)

 

『女優時代』 〜宝塚出身の大スター、乙羽信子。自伝を大森一樹監督がドラマ化した伝説の名画。

1988年/近代映画協会よみうりテレビ/16 mm→デジタル/カラー/93分

監督:大森一樹 原作:乙羽信子 脚本:新藤兼人 撮影:水野尾信正 美術:大谷和正 音楽:かしぶち哲郎

出演:斉藤由貴乙羽信子根津甚八森本レオ相楽晴子、川谷拓三、峰岸徹上田耕一浜田光夫、真実一路、室井滋山本陽子大地康雄小林桂樹

◆『「さよなら」の女たち』など3部作の後、4たび斉藤由藤とコンビを組んだテレビドラマ。乙羽信子の自伝「どろんこ半生記」を原作に、宝塚音楽学校から宝塚スター、大映入社、そして新藤兼人との愛という女優・乙羽の半生を、新藤が脚色し、21歳の斉藤が演じた話題作。新藤役は根津甚八小林一三永田雅一川口松太郎宇野重吉らに扮した俳優たちも名演。

 

以上ご紹介した映画上映の他にも、舞台挨拶、トークショーなどが予定されています。料金やタイムスケジュールなど詳しくはHPをご覧ください。

https://www.takarazukaeigasai.com/2022/index.html

 

毎年、貴重な作品を観る機会を与えてくれる市民による映画祭、本年度も盛りだくさんで、時間調整に悩まされそうです。この機会をお見逃しなく!