映画『宇宙の彼方より』は2023年6月3日(土)より下北沢トリウッド他にて全国順次公開!
ベトナム系ドイツ 人のフアン・ヴ監督がラヴクラフトの傑作小説「宇宙の彼方の色(原題:The Color Out of Space)」を原作に2010年に制作した映画『宇宙の彼方より』。
10年以上経った今なお、ヨーロッパの数多くの映画祭に入選するなど、「映画史上、最もラヴクラフト=“原典”の魅力を忠実に描いた作品」と評されている。
フアン・ヴ監督はラヴクラフトが唱えた“宇宙的恐怖”をより拡大すべく、フアン監督の両親が移民を決意したベトナム戦争下の1975年のアメリカと第二次世界大戦下のドイツを新たに作品の舞台に設定。
隕石が落ちた田舎の村に一体何が起きたのか。従軍した父は当時、何を目撃したのか!? 驚くべき事実が明かされる。
原作小説発表から95周年の2023年、映画『宇宙の彼方より』の世界初の劇場公開が決定!
メインビジュアルと予告編が解禁になったほか、世界初の劇場公開を記念して、フアン・ヴ監督、日本語字幕監修を手掛けた森瀬繚氏からのコメントが到着した。
目次
フアン・ヴ監督からのコメント
私は『宇宙の彼方より』という映画を誇りにしている。
この映画が、2023年現在まで世界で評価し続けてもらえたことは、私に“クトゥルー神話の父”が創始した無限の物語世界の偉大さを実感させてくれた。
日本語新字幕監修:森瀬繚からのメッセージ
モノクロームの色調で描かれた、“色”の物語。自他共に認めるラヴクラフトの“最高傑作”は、これまでにも幾度か映像化されてきましたが、原作小説の再現性という点においては、今のところこの『宇宙の彼方より』が一番でしょう(むろんそれは、作品としての優劣を決めるものではありません)。だけど、違うところもあります。
この映画を隅々まで楽しみたいのであれば、むしろ、原作小説を読み込んだ上で鑑賞することをお勧めします。
森瀬繚プロフィール:
ライター、翻訳家。
TVアニメやゲームのシナリオ/小説の執筆の他、各種媒体作品で神話・歴史考証に携わる。最新著書に『クトゥルー神話解体新書』、訳書に『バットマン:ザ・カルト』がある
映画『宇宙の彼方より』推薦コメント
河合のび(詩人/文筆家)
『宇宙の彼方より』の原作小説は、“放射線被曝”の恐怖にいち早く注目した作品とも言われている。
この映画が、“第2次世界大戦”という原作小説には登場しない時代を、“邪悪なる光”に世界が戦慄した時代をあえて描いた理由とは。
そして、かつて起こった“2011年”を記憶の水底に沈めようとしている日本で、“2010年”に完成されたこの映画がいま公開される意味とは。
その答えはぜひ、自身の眼で確かめてほしい。
尾子洋一郎(ロシア語ロシア文学研究者)
人間は自身の理解できないものに対して恐怖感を抱く。
白黒で綴られた本作品はロシア語でいう、ツヴェート(色)とスヴェート(光)という韻を踏む単語を想起させる。
スグに胸に刺さる安直な作品ではないが、一生を通して、あたかも完治したやけどの痕のように、ボディーブローのように刺さる作品である。
映画『宇宙の彼方より』の作品情報
2010年製作/89分/ドイツ/セレクトカラー/シネスコ/原題:Die Farbe
制作・監督・脚本・編集:ファン・ブ 原作:H・P・ラブクラフト 制作総指揮:ペーター・ティリッシュ 制作:ヤン・ロス 撮影監督:マルティン・コルベルト 音楽:ティルマン・シージ
出演:マルコ・ライプニッツ、ミヒャエル・コルシュ、エリック・ラスタッター、インゴ・ハイセ、ラルフ・リヒテンベルク
字幕監修:森瀬繚/タイトル協力:グループSNE/配給協力:滝澤令央、モクカ(阪神地域)、todoiF/発売元:アシスト、オデッサ・エンタテインメント/配給:Cinemago
映画『宇宙の彼方より』のあらすじ
その色はどこへ去ったのか…。
1975年、アーカム。行方不明になった父を探すため、ジョナサン・デイビスは父が第二次世界大戦中に駐屯していたドイツ、シュヴァーベン=フランケン地方の森へ向かう。
かつて、この田舎村で父親が目撃した不可思議な現象とは一体なにか。全ては宇宙の彼方より飛来した隕石から始まった・・・。