不眠症に悩む高校生サラが参加した、ある大学の「睡眠」に関する研究の臨床試験。次第に明らかになる研究の目的と、人々の夢の中に共通して現れる暗き迷路。そして迷路の深奥に潜む《人影》の正体とは—。
2024年2月9日よりヒューマントラストシネマ渋谷にて「未体験ゾーンの映画たち2024」の上映作品として公開される映画『COME TRUE/カム・トゥルー 戦慄の催眠実験』。
主人公サラ役に抜擢されたのは、6歳から子役として活躍し、実力派女優として豊富な映画主演経験を誇るジュリア・サラ・ストーン。過去にトロント国際映画祭でライジングスター賞を、バンクーバー・レオ賞では3度も最優秀主演女優賞を受賞。2023年のウィスラー映画祭では主演作『ZOE.MP4(原題)』が評価され、カナダ新世代のホラークイーンとして威光を放っている。
ストーンと二人三脚で本作を製作した監督アンソニー・スコット・バーンズは、ホラーアンソロジー『ホリデイズ』(2016)をケビン・スミスと共同で監督。スティーヴン・キング原作のNetflix映画『イン・ザ・トール・グラス 狂気の迷路』(2019)の第2班監督を経て、ついに本作で単独長編映画デビューを果たした。
『人肉村』(2020)のダニエル・ワイセンバーガーと脚本を執筆し「Pilotpriest」名義でエレクトリック・ユースと共に劇中曲も手がけるなど、バーンズ監督の八面六臂の才能が発揮された本作は、ブラッド・イン・ザ・スノー映画祭にて見事6冠に輝くなど、世界各地のファンタ系映画祭で絶賛された。
この度、アンソニー・スコット・バーンズ監督公式インタビューが解禁!あわせて念願の日本公開を記念し、監督からのメッセージ動画が到着した。
アンソニー・スコット・バーンズ公式インタビュー
──『COME TRUE/カム・トゥルー 戦慄の催眠実験』においてバーンズ監督は脚本も手掛けられています。物語の着想元についてお聞かせください。
私自身幼少の頃、母親が亡くなっており、そのショックから睡眠麻痺(金縛り)を患った経験がありました。その時の感覚は今でも強烈に記憶に残っています。
あの時見た夢の中では、何が起こっていたのかを理解したいと常に思っていました。そして、同じように金縛りを経験した人たちがもし、私と同じ光景を目にしていたとしたら、それはどれほど恐ろしいだろうかと想像したんです。
これは心理学的な興味関心にも通じており、同様に金縛りを経験した人々の根底に共通する恐怖が存在すると考えました。またこのアイデアはホラー映画を作る上での良い実験になると思い、物語を書き始めました。
──バーンズ監督は本作にて、ミュージシャン名義「パイロットプリースト」として、オースティン・ギャリックとブローウィン・グリフィンによるシンセ・ポップデュオ、エレクトリック・ユースとともに音楽も担当されています。
彼らとの出会いは数年前のお互いトロント出身。バンクーバーまで遡ります。私も彼らも映画作品に楽曲提供をした経験があるので、お互いの曲について話し、打ち解けました。
我々の仕事での出会いは前作の『アワーハウス』(2018)でした。同作で私はスタジオの決定に納得できず、監督を途中で降りました。作品にはクレジットされているものの、完成したものは私が目指したものではありません。その作品に彼らエレクトリック・ユースが素晴らしい楽曲を提供しており、いくつかの曲をリミックスして『COME TRUE/カム・トゥルー 戦慄の催眠実験』のイメージ曲を作りました。それを元に彼らはユーロスタイルのニュアンスを、私はホラーらしいニュアンスを曲内に取り入れてアルバムを仕上げました。彼らとの楽曲制作は本作における最高のコラボレーションの一つでした。
──タイトルロゴをはじめとした青色、ブラウン管モニターから発せられるブルーライトにも共通する、ブルー・トーンの色彩設計が印象的でした。
意識していたわけではないのですが、自分が親しんできた映画に近づけようという思いから自然とブルートーンの画面を作るようになっていきました。人に指摘されるまで青すぎることに気付かなかったほどです。
これは『ターミネーター』『アビス』『エイリアン2』などジェームズ・キャメロン監督作品の色に影響を受けていると自覚しています。彼の作品が出すブルートーンの色合いは、映画の世界が私が今いるココとは異なる、特別な別世界であると強く認識させる役割を果たしています。
──映像制作を手がける中で日本の作品の影響を受けたことはありますか。
『COME TRUE/カム・トゥルー 戦慄の催眠実験』は日本のホラーファンにこそ届けたい作品です。私自身Jホラーの影響を多く受けており、特に黒沢清監督の『CURE』と『回路』が生涯ベスト。
日本の映画作品とはじめて出会ったのは16歳の時に郊外のショッピングモールの中にあった、寂れたビデオ屋で見つけた塚本晋也監督作品『鉄男』でした。レーザーディスクで観て、日常生活の中に暗いスチームパンク世界が徐々に広がっていくという、低予算ながら実験的な表現も多く、映画の世界に強く引きつけられる衝撃と後に自身が映像制作をする上で、創造力においてとても影響を受けた作品です。
監督からのメッセージ動画
『COME TRUE/カム・トゥルー 戦慄の催眠実験』の作品情報
2020年製作/カナダ英語/105分/R15+(映倫区分)
脚本:アンソニー・スコット・バーンズ、ダニエル・ワイセンバーガー
撮影・編集・監督:アンソニー・スコット・バーンズ
共同プロデューサー:ニコラス・ベチャード プロデューサー:スティーブン・ホーバン、マーク・スミス、ブレント・カウチュク 音楽:エレクトリック・ユース
日本語字幕:堀池明|宣伝デザイン:デザイン原|宣伝:河合のび、滝澤令央|配給:Cinemago
出演:ジュリア・サラ・ストーン、ランドン・リボアイアン
カーリー・リスキィ、クリストファー・ヘザリントン、テドラ・ロジャース、スカイラー・ラジオン
『COME TRUE/カム・トゥルー 戦慄の催眠実験』のあらすじ
高校生サラは関係が険悪な母親と距離を置くため、友人の家を転々とし時には野宿もする生活を送っていた。しかし彼女は、繰り返し見る悪夢で不眠症に陥っていた。
彼女は安眠を求めて、とある大学の「睡眠」に関する研究の臨床試験に参加する。やがて被験者たちの身には次々と奇妙な現象が起こり、彼女の悪夢への不安と恐怖はより悪化していく。実験の目的を知るべく、サラは自身の跡を尾ける研究員リフに接触する…。