霧生笙吾監督の武蔵野美術大学の卒業制作である映画『JOURNEY』(2020)は同年7月に開催されたSKIPシティ国際Dシネマ映画祭2022・国内コンペティション長編部門に入選し、見事、才能ある次世代映画作家に贈られる「SKIPアワード賞」を受賞。また、2023年6月には欧州最大の日本映画祭であるドイツの「ニッポン・コネクション」にて上映されるなど、その独自の映像感覚が国内外で高く評価された。
霧生笙吾監督は、大学在学中に「亡くなった母親が骨壷として家に戻り、火葬の際に焼け残った母親の銀歯を取り出す」という内容の20分の短編映画を制作。そこで描かれた “肉体が朽ちていくことへの恐怖”をより発展させ、脚本を構想。“肉体と意識の隔たり”を“壮大な宇宙"と"親子2世代の継承"というモチーフで描いた、全編60分のアブストラクトSF詩篇を誕生させた。
このたび、2023年10月21日(土)より池袋 シネマ・ロサにて待望の劇場公開が決定!
ポスタービジュアル、場面写真解禁にあわせて霧生監督からのコメントと応援コメントが到着した。
監督からのコメント
霧生笙吾(脚本・監督・編集)
はじめて長編作品を手掛けるにあたり、自分自身、映画が好きになったルーツである「SF映画」の実現を目指し、世界観を構築していきました。本作では、男女を中心とした「世代間のつながり」という小さな単位と自我と意識、時を司る宇宙といった大きな事象とを重ねて、SFの持つ壮大さを最小単位で描いています。
今回の池袋 シネマ・ロサでの上映は、私にとって初めての劇場公開となります。多くの人に自分の作品、存在を知覚していただき、たくさんの意見を聞きたいです。
応援コメント
河合真也(プロデューサー)
『JOURNEY』を初めて観た時、自分が20代前半で『THX1138』に出会った時の感覚に近い何
かを感じた。人間の肉体と精神はどういう形で存在しているのか。文明の進化、テクノロジーの恐るべきスピード。宇宙へ旅行に行けるようになりつつある今、大きな俯瞰から見ると、人間の存在とは何なのだろうと考えたくなる。
黒坂圭太(アニメーション作家)
『JOURNEY』に登場する人物や風景は、みな絵画の様に凍結している。だからこそ彼等が動いた時の衝撃度は背筋に稲妻が走るが如くである。ストーリーやキャラクター以前の原初的な興奮、長回しフィックスショットの中で揺らめく光と影、ラスト近くに樹木の下で語らう二人が紡ぎ出す時間軸は、官能的でさえある。それは正に「もうひとつのアニメーション表現」なのだ。霧生監督の切実なる“映画愛”に拍手を送りたい!
(敬称略/順不同)
映画『JORNEY』作品情報
2023年/日本/カラー/シネスコ/DCP/60分
脚本・監督・編集:霧生笙吾 撮影:蔡融霖 照明:奥田夏輝、林崎征大 録音:井口暁斗 美術:成
田大喜 整音:鈴木昭彦 宣伝デザイン:富永諒 宣伝:滝澤令央 宣伝協力:武蔵野美術大学 配給:Cinemago 劇中曲|ピアノ曲「愛の夢(三つの夜想曲)第三番・変イ長調『おお、愛しうる限り愛せ』
出演:宮﨑良太、伊藤梢、森山翔悟、みやたに、山村ひびき、廣田直己
映画『JOURNEY』あらすじ
肉体から意識を解放することが可能となった近未来。
宇宙飛行士になることを諦め、地球で働く慶次は、心を病む妻の静と暮らしていた。
ある日、慶次は新たな宇宙開発の噂を聞き、静とともに「積極的選択としての死」にも等しい“意識のみの存在”になることへ憧れを抱き始める。