クトゥルー神話の生みの親として知られるH.P.ラヴクラフトが1927年に発表した小説『宇宙の彼方の色(原題:TheColor Out of Space)』を原作としたドイツ映画『宇宙の彼方より』の世界初の劇場公開が2023年6月3日(土)より下北沢トリウッドにて始まり、上映初日を満席でスタートさせた。それにともない3週目の上映延長が決定した。
「映画史上、最もラヴクラフト=“原典”の魅力を忠実に描いた作品」という呼び声も高い本作は、ベトナム系ドイツ人のフアン・ヴ監督が“原典”を崇拝しつつも、ラヴクラフトが唱えた“宇宙的恐怖”をより拡大すべく、フアン監督の両親が移民を決意したベトナム戦争下の1975年のアメリカと第二次世界大戦下のドイツを新たに作品の舞台にするなど、独自の解釈を盛り込んだ野心作だ。
製作から10年経った今なお、ヨーロッパの映画祭で高い評価を受けている本作の劇場公開は今回が世界で初となる。
初日6/3(土)上映後には解説に森瀬繚、七月鏡一が登壇。
字幕監修を務めた森瀬繚は、観客が信じてきた物語を劇的に覆す《信頼できない語り手》が明かされるという、 映画オリジナルの展開が描かれる本作のラストについて言及。原作小説を知っている人間ほど驚かされるラストであり、映画『宇宙の彼方より』が、ただ原作に忠実なだけでなく、"野心的"な作品として海外映画祭で評価された理由の一つであったと解説した。
七月は自身の漫画作品『ジーザス』などに散りばめたラヴクラフト作品へのオマージュ、イースターエッグに言及し、その多大なる影響を認めた上で、保守本流であるラヴクラフトの映像化に挑戦したフアン・ヴ監督を称賛。ラヴクラフト小説史上最も映像化された『宇宙の彼方の色(原題:The Color Out of Space)』においてモノクロで描いた意図を「色彩世界の次元をモノクロ世界へと一段下げることで、高次元から現れた怪物の"異色性”を強調した演出」と評した。
下北沢トリウッドでの上映最終日6/22(木)には、森瀬繚と七月鏡一が再び登壇することも決定された。
下北沢トリウッドでの上映 ゲスト情報
1週目:6/5(月)~9(金)
5日(月)加藤才紀子(俳優) 7日(水)永野絵梨奈(俳優) 9日(金)小川深彩(俳優・監督)
2週目:6/10(土)~16(金)
10日(土)田中晴菜監督 11日(日)高橋世織(日本映画大学 名誉教授/文芸評論家)
12日(月)眞田康平監督 14日(水)田辺秋守(日本映画大学 教授/哲学家) 15日(木)小川あん(俳優)
3週目:6/17(土)~22(木)
18日(日)川野耕一(字幕翻訳)22日(木)森瀬繚・七月鏡一(再登壇決定!)
<タイムテーブル>
6/3(土)~16(金) 土日...16:30~上映 平日...17:10~上映
6/17(土)~22(木) 土日...14:10~/18:30~*上映 平日...15:10~ /19:00~*上映
平日火曜定休
下北沢トリウッドHP:https://tollywood.jp/
今後の公開予定
大阪・十三シアターセブン 6/10(土)
SF作家:浅尾典彦による上映後トークショー
連動企画:6/9(金)"クトゥルーvs.クトゥルー"
【浅尾典彦出演】クトゥルー狂言・特別上映×クトゥルー小説・朗読イベント
神奈川・横浜シネマノヴェチェント 6/17(土)
「ラヴクラフトvs特撮」
『特撮喜劇 大木勇造 人生最大の決戦』監督:石井良和による上映後トークショー
兵庫・シネマ神戸 7/1(土)
公開記念企画:ラブクラフト同原作のニコラス・ケイジ主演作『カラー・アウト・オブ・スペース─遭遇─』(2019公開 ファインフィルムズ配給)と『宇宙の彼方より』の同時上映 !