映画『あっちこっち じゃあにー』は大阪・シアターセブンにて2024年1月13日(土)~19日(金)の期間、一日一回上映。『ラフラフダイ』は、13日・14日の2日間限定上映。(詳しくは劇場HPをご覧ください)
『ライブハウス レクイエム』(2016)や『ダイナマイト・ソウル・バンビ』(2022)などの作品で知られる映像制作チーム「シネマ健康会」の松本卓也監督の新作長編映画『あっちこっち じゃあにー』は、お笑いコンビを解散してピン芸人となった末松と、彼の動画配信を手伝う6歳の女の子・加奈の奇妙な2人旅を描いたロードムービーだ。
松本監督が元芸人だった経歴をいかし、自ら末松を演じ、加奈には6歳の新人、ゆずが扮している他、ネパール人のディネス・サプコタ、韓国人のハン・ギュヒなど国際色豊かなキャストが揃った。
2024年1月13日(土)より待望の大阪、シアターセブンでの公開がスタート。終映後、舞台挨拶が開催され、松本卓也監督が登壇した。
松本卓也監督舞台挨拶レポ
拍手で迎えられた松本卓也監督は現在の心境と本作を制作するきっかけについて次のように語った。
2022年の10月に撮影してそこから編集しまして2023年11月に東京で公開、12月には広島で公開して、2024年1月にここ大阪ということで、インディペンデント映画なのでこうやって映画を持って、ロードムービーじゃないですけど、一緒に旅をしている感じです。
もともと2022年の段階で何を描こうと考えたときに、凸凹コンビがお互いのやりたいことをするために車に乗ることになり、でも未熟な者同士で、運転も当然できないので誰かに頼らなければいけないのですが、頼る人もなかなか周りにいない、そんな時に外国人の方たちに助けてもらったりだとか、そのような珍道中のお話をやってみたいと思ったのがきっかけです。
また観客の方の質問に答える形で、次のようにも語った。
2022年の芸能を見た時に暗い話題が多くて、その本人にしかわらかない部分、スポットの当たらない部分は、想像しかできないんですけど・・・。例えばダチョウ倶楽部の上島竜兵さんも亡くなってしまいましたが、もしかしたら上島さんの生きている世界がどこか別の時間軸にあって、自分はたまたま「こちら側」に来てしまったという思いがありました。死ぬために生きて行かなくちゃいけないという点はシナリオを書いた時も今でもこの映画の目線として変わってないんですよ。でもそこの部分を想像しなくちゃいけないとずっと思っていて、それがこの映画の「核」の部分になっています。
珍道中といいますか、なかなかたどりつけないというか寄り道、寄り道でなんとか最後に出す答えを、ロードムービーになぞって組み立てていきました。
実際、この作品をご覧になった方はこの言葉が心に染み入るのではないだろうか。『あっちこっち じゃあにー』は、ユーモラスな珍道中を綴った愉快な作品であると共に、人間の「生き死に」についての物語でもあるからだ。
また、質疑応答の「描かれている芸人の雰囲気が90年代くらいの芸人のように感じたのですが、ご自身の経験からくるものなのでしょうか」という問いには
「僕が扮する主人公の末松はコンビを解散してピン芸人として活動しているという設定なのですが、コンビでなくてピンのネタというのは結構シュールというか、滑りかかっているんだけどそれが一回転して面白いという90年代の滑り芸のピン芸人の先輩方の姿を見て来たので、確かにそのへんのオマージュはある気がしております。」と回答。
小学生の男の子の愉快な質問や、ザ・クロマニヨンズを劇中歌に使用する際のエピソードなども聞け、盛況の中、舞台挨拶は終了。すぐにサイン会となり、大勢の方々が松本監督と言葉を交わしていた。
1月14日(日)にも舞台挨拶が予定されている。14日には松本監督の2022年の作品で香港の国際映画祭「Asia Film Art International Film Festival」で審査員特別に輝いた『ラフラフダイ』も上映され、そちらでも舞台挨拶が予定されている。
(取材・文責:西川ちょり)
映画『あっちこっち じゃあにー』のあらすじ
お笑いコンビを解散してピン芸人となった末松。後輩芸人からも面白くないといじられ、売れる気配は一向にない。ヘッドフォンで音楽を聴きながら、孤独に生きる日々。そんな時に6歳の女の子 加奈と出会い、動画配信の手伝いをしてもらう事になる。やがて末松は、遠方に住む加奈の父に会いに行くことを交換条件に、加奈に旅の動画撮影の同行をお願いする。大人と子ども、奇妙な二人の旅が始まる―
映画『あっちこっち じゃあにー』の作品情報
2023年製作/105分/日本映画
監督・脚本:松本卓也 撮影監督:髙橋周平 撮影助手:下村あさり 早川敏明 録音:田中建 木村圭吾 録音助手:松本康孝 演出:山田元生 後藤龍馬 尾野綾美 藏岡登志美 制作:佐藤正子(ジャパンフッテージ株式会社) 寺村茉莉 小山田佳代 衣装:松本輝美子 ヘアメイク:原早織(Kleuren) 美術:相澤奈那 車両:西村信彦(信勇コーポレーション) 片山智樹 大坪慶人 編集:髙橋周平 松本卓也 VFX:ショウジタツヤ サウンドエディター:井上久美子 音楽:ハマノヒロチカ 劇中曲:ザ・クロマニヨンズ 宣伝デザイン:東かほり プロデューサー:中條夏実 製作:シネマ健康会
出演:松本卓也、ゆず、ディネス・サプコタ、ハン・ギュヒ、岡田深、榎本桜
後藤龍馬、澤真希、中山雄介、山形啓将、野坂昌司、遠藤史崇、尾野綾美、吉井翔子、清なおみ、木村仁、みのみのり、白石望莱、阿紋太郎、大羽良克、春園幸宏