短編映画『サッドカラー』がPFFアワード2023に入選するなど、国内映画祭で高い評価を受けている新進気鋭の映像作家・髙橋栄一監督の映画『ホゾを咬む』が、新宿K’s cinemaにて絶賛公開中だ。
関西では12月16日(土)よりシネ・ヌーヴォ(12月16日に髙橋栄一監督、12月17日(日)に小沢まゆさんの舞台挨拶を予定)、2024年1月には元町映画館にて公開される他、全国順次公開が予定されている。
妻に疑念を抱いた夫は、家中に隠しカメラを設置し…。モノクロームの世界観が観る者を異世界へと誘う映画『ホゾを咬む』。
主人公・茂木ハジメを演じるのは、主演するコメディアクション『MAD CATS』(2022/津野励木監督) から、『クレマチスの窓辺』(2022/永岡俊幸監督)、『とおいらいめい』(2022/大橋隆行監督)など、幅広い役柄をこなすカメレオン俳優・ミネオショウ。
映画『少女〜an adolescent』(2001/奥田瑛二監督) で国際映画祭で最優秀主演女優賞受賞の経歴を持つ俳優・小沢まゆがプロデューサーとヒロイン役を務め、木村知貴、河屋秀俊ら実力派の面々が脇を固めているほか、武正晴監督作品に数多く参加し、『劇場版 アンダードッグ』(2020)で第75回毎日映画コンクール撮影賞を受賞した西村博光が撮影監督を担当した。
このたび、公開を記念して主演のミネオショウのオフィシャルインタビューが到着した。
ミネオショウ プロフィール
東京都出身。美容師から俳優に転身し、映画、ドラマ、CM、MV等数々の映像作品に出演。
近年の出演作品に、映画『クレマチスの窓辺』(永岡俊幸監督/2022)、『とおいらいめい』(大橋隆行監督/2022)、『PARALLEL』(田中大貴監督/2022)、『ラーゲリより愛を込めて』(瀬々敬久監督/2023)などがある。
2023 年は『ホゾを咬む』と『MAD CATS』(津野励木監督/2022)の2 本の主演作を含む複数の出演映画やネット配信ドラマが公開。
ミネオショウ・オフィシャルインタビュー
―ハジメをどのような人物と捉えましたか?
ミネオショウ:最初どういう風に切り込んでいこうか悩んだんですけれど、脚本を読んで、ハジメは相手にうまく感情が伝えられない人だと思いました。妻のミツに対して話す内容を、家に帰る間に予習しておくみたいなシーンがあります。僕は、舞台挨拶などの際に、事前にどういうことを話そうか、うまく喋れるかなと考えたりするんですが、それが日常に出るのがハジメなんだなと思いました。自分に自信がないのかなとも思ったので、それを表現できたらと思いました。
―妻の浮気を疑って監視カメラを買ってしまうなど、ハジメの行動は私は理解できたのですが、演じていていかがでしたか?
ミネオショウ:実際にやるかは別として(笑)、気持ちはわかりました。不安な気持ちというのは、パートナーだったとしても感じてしまうこともあると思ったので、すごい行動に出たなとは思いますが、理解はできました。
―ご自身だったら、普段とは全く違う格好のパートナーを街で見かけたら、どうしますか?
ミネオショウ:やっぱり追っかけちゃいますよね(笑)昔、実際にそういうことがあったんです。付き合っていた人が、朝方、知らない男の人と歩いているのを見て、それを追いかけようかなと思って。結局それは本人でした。そういう気持ちをちょっと思い出しました(笑)
―妻・ミツ役の小沢まゆさんとはご一緒していかがでしたか?
ミネオショウ:ミツもそうなんですけれど、包み込んでくれる人なんだろうなと感じました。こっちが何をやっても許してくれるというか、母性というか優しさを感じる人だなと思いました。
―木村知貴さんが演じた主人公の同僚・月見里とのシーンの撮影はいかがでしたか?
ミネオショウ:木村さんとは、同じシーンでお芝居をするというのは初めてでした。すごく独特の、面白い間でやってくるんで、一緒にやっていて、吹き出してしまいそうになる瞬間もありました。木村さんがやった役がトイレで吐くシーンがあるんですけれど、全力でやるんで、毎回カットがかかる度に顔色が悪くて、「本当に吐いたのかな?」と思うくらいでした。自分が画面に映っていなかったとしても、声が入っているからと全力投球しているのは、見習わなくちゃなと思いました。
― 牧田夫妻とのシーンの撮影はいかがでしたか?
ミネオショウ:あの二人組は異質でしかなかったです。昔の日本映画の登場人物が現代映画に紛れ込んできたような異質感を感じました。こっちが何か言ったら、小津映画の登場人物が返してくるというようなおかしさがありました。
―一卵性双子のフクリ・シッタとのシーンの撮影はいかがでしたか?
ミネオショウ:フクリ・シッタ役のミサ・リサさんは、今回お芝居が初めてだったみたいで、撮影中に吹き出しちゃうことが多くて、一緒にやるのが新鮮でした。初めてということで、楽しんでやってもらいたいなと思いながら、リアクションをしました。
―河屋秀俊さん演じる野老(ところ)との撮影はいかがでしたか?
ミネオショウ:河屋さんは、映画『れいこいるか』を拝見したことがあって、まさかご一緒できるとは思っていなかったので、嬉しかったです。そこにいるだけで、漂っている風情、河屋さんが持っている人柄が出ていて、ああいう雰囲気を出すのはどうやるんだろうと思いながら見ていました。楽しんでご一緒できました。
―福永煌くん演じるコゾウとのシーンは、大人びたツッコミをする子供とのセリフのやりとりが面白かったのではないかと思いますが、撮影はいかがでしたか?
ミネオショウ:煌くんとの撮影は本当に楽しかったです。カットがかかる度に、煌くんが虫を探しに行っちゃうんです。僕も一緒について行って、話して、すごく仲良くなれたので、その雰囲気も出ているかなと思います。ハジメが劇中で一番心を許して話している人物がコゾウだったので、いっぱい喋ってコミュニケーションを取りました。
―髙橋栄一監督はご一緒していかがでしたか?
ミネオショウ:変わった方だなと思いました。こだわりがあるというか、やりたいことがはっきりしている方でした。自分がやりたいのはこうだというのを諦めないでちゃんと伝えてくれるので、やりやすかったです。信頼できる方でした。
―読者へのメッセージをお願いします。
ミネオショウ:この映画は、変わった映画です。僕は、映画を観た時に、自分のための映画だと感じる時があるんです。この映画が、どなたかにとっての「自分のための映画」になってくれるといいなと思っています。
映画『ホゾを咬む』あらすじ
不動産会社に勤める茂木ハジメは結婚して数年になる妻のミツと二人暮らしで子供はいない。
ある日ハジメは仕事中に普段とは全く違う格好のミツを街で見かける。帰宅後聞いてみるとミツは一日外出していないと言う。
ミツへの疑念や行動を掴めないことへの苛立ちから、ハジメは家に隠しカメラを設置する。
自分の欲望に真っ直ぐな同僚、職場に現れた風変わりな双子の客など、周囲の人たちによってハジメの心は掻き乱されながらも、自身の監視行動を肯定していく。
ある日、ミツの真相を確かめるべく尾行しようとすると、見知らぬ少年が現れてハジメに付いて来る。そしてついにミツらしき女性が誰かと会う様子を目撃したハジメは...。
映画『ホゾを咬む』作品情報
2023年/日本/4:3/モノクロ/108分/DCP/5.1ch
脚本・監督・編集:髙橋栄一 プロデューサー:小沢まゆ 撮影監督:⻄村博光(JSC) 録音:寒川聖美 美術:中込初音 スタイリスト:タカハシハルカ ヘアメイク:草替哉夢 助監督・制作:望月亮佑 撮影照明助手:三塚俊輔 美術助手:塚本侑紀、菅井洋佑 制作助手:鈴木拳斗 撮影応援:岡上亮輔、濵田耕司、小野寺光、⻑島貫太、秋田三美、小沼美月 音楽:I.P.U 整音・音響効果:小川武 楽曲提供:小川洋 劇中絵画:「生えている」HASE. 宣伝デザイン:菊池仁、田中雅枝 本編タイトルデザイン:山森亜沙美 宣伝写真:moco DCPマスタリング:曽根真弘 製作・配給:second cocoon 配給協力:Cinemago 海外セールス:Third Window Films 文化庁「ARTS for the future!2」補助対象事業
出演:ミネオショウ、小沢まゆ
木村知貴、河屋秀俊、福永煌、ミサ リサ、富士たくや、森田舜、三木美加子、荒岡龍星、河野通晃、I.P.U、菅井玲