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【Amazon Prime Video】『フォールアウト』シーズン2 あらすじと 解説/ニュー・ベガス編が暴く滅びの思想と父の真実

Amazon Prime Videoで独占配信中のSFドラマ『フォールアウト』シーズン2(全8話)は、核戦争後の荒野を舞台にした物語を、さらなる深みへと引きずり込む待望の続編だ。

 

舞台はロサンゼルスから、ゲームファンにはお馴染みの「ニュー・ベガス」へと移る。主人公ルーシーが直面する父の衝撃的な「正義」、そして世界を崩壊させた連中の「思想」が、より鮮明に、そして残酷に描き出されていく。本稿では、今シーズンで明かされた核心部分を徹底的に掘り下げてみたい。

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目次

 

前作のおさらい:シーズン1で何が起きたのか?

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2077年、核戦争によってアメリカは一夜にして灰となった。生き残ったのは、地上で地獄を這いずり回る人々〈ウェイストランド人〉と、地下シェルター〈Vault〉に逃げ込んだ特権階級だ。

 

平和で民主主義的な地下生活を送っていたルーシーは、さらわれた父ハンクを救うため、初めて地上へと飛び出した。そこで出会ったのは、200年以上生き続けている冷酷な賞金稼ぎ「ザ・グール(クーパー・ハワード)」と、軍事組織に所属し自らの理想を追う青年「マキシマス」だ。

 

三人の運命が交錯する中で、ルーシーは信じがたい真実を知る。父ハンクは、単なる平和主義者のリーダーではなく、核戦争を引き起こした「Vault-Tec社」の幹部だったのだ。 物語は、父を追うルーシーとグールが、砂漠に眠る巨大な廃墟都市「ニュー・ベガス」を目指すところで幕を閉じた。

 

『フォールアウト』シーズン2作品基本情報

項目 内容
タイトル

フォールアウト (Fallout) シーズン2

配信元

Amazon Prime Video

エピソード数

全8話

主なキャスト

エラ・パーネル(ルーシー)、ウォルトン・ゴギンズ(グール/クーパー)、アーロン・モーテン(マキシマス)、カイル・マクラクラン(ハンク)、ジャスティン・セロー(ロバート・ハウス)

主な舞台

ニュー・ベガス(モハーベ砂漠)

 

シーズン2のあらすじ:崩壊の続きを求めて

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シーズン2の物語は、ルーシーとグールが、モハーベ砂漠を横断するところから始まる。ルーシーの目的は「父を裁きにかけること」だが、厳しいウェイストランドを旅するうちに、彼女の純真な正義感は少しずつ削られ、現実的な強さへと変貌していく。

 

一方、マキシマスは騎士として「Brotherhood of Steel(B.O.S.)」の内部抗争に巻き込まれ、地下のVault 33ではルーシーの弟ノームが、自身のコミュニティに隠された「冷凍保存された社員たち」という戦慄の真実を暴こうと命がけの探索を続けていた。

 

全ての点がつながる先にあるのは、かつてのラスベガス、現在は「ニュー・ベガス」と呼ばれる欲望と野望の都だ。ルーシーとグールはそれぞれの目的を遂行しようとするのだが・・・。


Fallout Front and Back Vault-Tec Vault Suit 33 TV Show ジップパーカー

 

シーズン2の見どころと評価:物語は「暴露」の段階へ

「フォールアウト」シーズン2 © Amazon MGM Studios
世界観の提示から「思想の解剖」へ

シーズン1が「この世界はどうなっているのか?」を見せてくれた章だったのに対し、シーズン2は「なぜ世界はこうなったのか?」という思想の根源に切り込んでいる。今シーズンは、単なるサバイバル劇にとどまらず、人間の内面的な葛藤や、世界を支配しようとする者たちのエゴを深く掘り下げた作品に仕上がっているのが特徴だ。

 

主要キャラクターのそれぞれに、それぞれのストーリーラインが存在するため、場面が小刻みに変わり、さらに現在と過去が目まぐるしく交錯する。その間、CMも入るので少々集中力を失ってしまうことがあるが、幸い、物語の面白さがそれらを遥かに上回っている。

 

ルーシーとグールの「奇妙な友情」

今シーズンの大きな魅力は、ルーシー(エラ・パーネル)とグールことクーパー(ウォルトン・ゴギンズ)のパートナーシップだ。このドラマシリーズが始まった当初は二人がこのように近づくとは想像もしていなかった。正反対の二人が、互いに影響し合いながら変化していく様は実に見応えがある。

 

ルーシーは、父ハンク(カイル・マクラクラン)がVault-Tecの一員で邪悪な計画に積極的に関与していたことを知り、これまでの正義感が大きく揺らぐ中、次第にウェイストランドの殺伐とした環境にも慣れて行く。時には暴力的な解決策を選びそうになりながらも、根底にある「人の善性を信じる心」をどう守り抜くかが物語の焦点となっていく。

 

一方、グールは、彼が映画スターだった頃の遠い記憶が描かれ、その冷酷な仮面の下にある「脆さ(もろさ)」が明らかになる。核戦争が起こる前、彼(グール)は自分ではどうにもできない状況の犠牲者だったことがわかってくるのだ。

シーズン2では、シーズン1ではあまり見えなかったグールの弱さや人間らしい部分が強く表現され、無慈悲なアンチヒーローというより、むしろ「共感できる」「応援したくなる」人物として立ち上がって来る。

そうした経緯が、かつての彼に似たルーシーとの旅を通じて描かれていく様が今シーズン屈指の面白さを生み出している。

 

とはいえ、二人の関係は常に順風満帆というわけにはいかず、グールがルーシーのおかげで串刺しにされるなど恐ろしいシーンも登場する。

エラ・パーネルは大きな瞳を輝かせながら深い感情を表現し、ウォルトン・ゴギンズは置き去りにされたり串刺しにされながらも、我慢強く耐え、何度も立ち上がってみせる。

 

マキシマスとノーム:異なる場所で試される「良心」

ウェイストランドとVault、それぞれの場所で真実を追い求める二人のドラマは、さらに複雑さを増している。

 

シーズン1の終盤、意図せずして「Brotherhood of Steel(B.O.S.)」の勝利に貢献してしまったマキシマス(アーロン・モートン)は、シーズン2では「英雄」として、そして「騎士」としての高い地位を得た状態で登場する 。しかし、その地位こそが、彼の「正しいことをしたい」という純粋な欲求を複雑にさせてしまう。

組織の矛盾を目の当たりにしながらも、自分がどのような人間になりたいのかを必死に模索するマキシマスは、暴力的で荒廃したウェイストランドにおいて依然として「最もピュアなキャラクター」といえるだろう。

今シーズンの彼の活躍は、前シーズンでは登場しなかった奇怪なクリーチャーとの戦いに重きを置いている。ゲームファンにはたまらない展開だろう。

 

一方で、地下のVault 33に残ったルーシーの弟ノーム(モイセス・アリアス)もまた、姉とは別の形で世界の真実に迫っていく。

彼はVault-Tecの従業員たちが冷凍保存されている金庫室のような空間、Vault 31に閉じ込められるという絶望的な状況からスタートする 。

“ルンバの脳”ことバド・アスキンズ(マイケル・エスパー)から思わぬアドバイスを得て脱出を試みるなど、彼のパートは常に緊張感に満ちており、精神的にも肉体的にも多くのダメージを受けることになる。

 

当初、「Vault」という組織は典型的なアメリカのリベラル層を風刺するものに見えたが、実態はもっと複雑で謎だらけだ。Vault33では水不足という問題が起こっている。多くの人々は、それを深刻なこととしてとらえられないようだが、胸騒ぎを覚えるのは筆者だけだろうか。

Vault32ではステファニー(アナベル・オヘイガン)がなにやら怪しげな行動をしており、この空間が桃源郷的な住処ではなく、なんらかの陰謀が進んでいる様子が示唆されている。

 

剥がれ落ちた「父の仮面」と超大物登場

カイル・マクラクラン演じるハンク・マクリーンは、シーズン1で見せた「優しい父親」という仮面を完全に取り払い、今や物語の明確なヴィラン(悪役)へと変貌を遂げた。生き生きとカートに乗って移動し、怪しげな実験に取り組む姿は実に楽しそうだ。

笑顔をみせ、「善良」な振る舞いを崩さないまま、恐ろしい計画を遂行する彼の姿は、なんとも表現し難い恐怖感を視聴者に与えると同時に抗い難い魅力を放っている。

 

彼はステレオタイプな悪役ではなく、彼の行動の裏には彼なりの「理性」や「人類を救うための選択」というロジックが存在している。そのことが、彼をより肉付けされた、無視できないキャラクターにしているのだ。

 

ハンク以上に今シーズンのテーマを象徴するのが、ジャスティン・セロー演じるロバート・ハウスだ 。

ゲームファン待望のキャラクターである彼は、資本、支配、権力といった、フォールアウトが描くあらゆる「醜悪さ」を体現している 。人間を使い捨てのコマのように扱い、社会を「ベータテスト」だと信じる彼の思想は、現代のテクノクラート(技術官僚)国家を予見しているかのようだ 。

出演時間は限られているものの、その冷徹なカリスマ性は今後、ルーシーたちの大いなる脅威となるだろう。

 

シリーズが問いかけるもの――繰り返される歴史と、一人の意志

「フォールアウト」シーズン2 © Amazon MGM Studios

『フォールアウト』が描き出すのは、どれほど文明が滅び、世界がリセットされたとしても、人間はまた同じ過ちを繰り返すという皮肉な事実だ。

 

過去の栄光を忘れられず旧時代の軍隊ごっこに励む者、テクノロジーで世界を管理しようとする企業。そんな、かつて世界を滅ぼした「古い構造」が、形を変えて何度も現れるのだ。

 

しかし、この物語が描くのは絶望だけではない。すべてが計算し尽くされ、システムに完全に組み込まれた世界でも、ルーシーやマキシマスのような正しいことをしようとする存在が、その計算を狂わせ、新しい未来を切り開く可能性を示している。 

世界を壊す(ボタンを押す)のが一人の決断なら、世界を救うのもまた、誰か一人の小さな一歩なのかもしれない。

 

1950年代に高まった冷戦期の核戦争の緊張感をそのまま引き継いだレトロフューチャー社会の価値観、ペギー・リーの「チーク・トゥ・チーク」やサム・クック「チェイン・ギャング」などの名曲が散りばめられていることからも伺えるどこか懐かしさを感じさせる文化や美学にもかかわらず、『Fallout』の戦前の世界は、現代社会と驚くほど酷似している。

ミスター・ハウス(冷徹なジャスティン・セロー)は、アメリカで最も影響力のあるテクノロジー界の大物であり、道徳心に欠けた人物だ。彼にとって進歩とは収益と影響力のことで、彼が目指しているのは、労働者の自動化とテクノクラート国家の確立だ。

こうしたキャラクターは、昨今のアメリカ政治に大きな影響力を与えているテックライトの面々や、英雄化される超富裕層の存在を思わせる。

 

 

結末、そしてシーズン3へ

シーズン2のラストでは、ミスター・ハウス、Vault-Tec、そしてニュー・ベガスの勢力が、かつての技術を巡って激突する予兆を見せる。父ハンクの本当の狙いとは、そしてクーパーが探し続ける家族の行方は……。

 

圧倒的な映像美とブラックユーモアをまぶしながら、人間の本質を鋭く突く本作。ポストアポカリプスドラマの決定版として、さらなる混沌が待ち受けるシーズン3への期待は高まるばかりだ。


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