2021年4月、クーデター後のミャンマーで取材中に、市民の抗議デモを支持したなどとして拘束され、約2年に渡って刑務所に収容されていた、日本育ちのミャンマー人映像作家ティンダン。映画『エイン』は、7歳の時に来日した彼自身の境遇をもとに、「人間関係」、「アイデンティティ」、「家族」をテーマに作り上げた作品だ (“エイン”とはミャンマー語で「家」。)
主人公は、家族でミャンマーから移ってきて1年になるアウンメイン。「級友」、「家族」、「日本人」全てが敵のように見えていた思春期の少年が、純粋な弟と家出することで成長する姿が描かれる。
本作は、日本映画学校(現・日本映画大学)の卒業制作作品で、コダック ワールドワイド スチューデント プログラムというコダック株式会社の製作支援活動によってサポートされ、16mmフィルムで撮影。アジアフォーカス・福岡映画祭及び伊参スタジオ映画祭に正式出品され、出演した光石研が2025年の「アナザースカイ」で取り上げた。
この度、生越千晴、小野花梨らが出演する『めぐる』と同時上映で2026年3月6日(金)よりアップリンク吉祥寺ほかにて全国順次公開されるのを前に、予告編が到着した。
また、ミャンマー人の移民・難民家族を描いた『僕の帰る場所』(2017)や、『海辺の彼女たち』(2020)、『LOST LAND/ロストランド』(2025)などで知られる藤元明緒監督、『風のマジム』の芳賀薫監督、俳優の大塚祐也氏の推薦コメントが解禁となった。
映画人からの推薦コメント

藤元明緒(映画作家) コメント
『エイン』も『めぐる』も、人生の喜怒哀楽を気どることなく、真っ直ぐに届けてくれる。そのピュアな映画の佇まいが、とても好きです。
芳賀薫(映画監督/CM ディレクター/クリエイティブディレクター) コメント
映画という表現は、登場する人間たちの関係と感情と、それにより人がどう行動し、さらにその行動から何かを感じ影響された他の人が、またリアクションしていくということを積み重ねて織りなされてゆく表現だと思っています。
『エイン』という作品は、その心の動きの連鎖が幾重にも積み重なり、そこで生きる者たちの姿が観る人の心へと染み込んでくるような物語だと思います。主人公が日々の葛藤や生活で受ける心の傷でどう行動し、彼の周囲の人々や偶然出会う人、そして家族がどう変わってゆくかが丁寧に描かれています。これはミャンマーにルーツを持ち日本で育ったダン監督だからこそ深掘りできる社会への視点と、感じてきたことや考えてきたことを登場する多くの人物を通して観る人に届くように紡ぐ気骨と才能があるからだと思います。分断を煽るような政治や言論が主流の位置を占めつつあるいま、監督が若き日に作ったこの映画がなお瑞々しいメッセージをあなたにも届けてくれることでしょう。
大塚祐也(俳優) コメント
20年前に出演した映画が劇場公開されると聞き、久しぶりに観てビックリした。
ダンさんの実体験を元にした、日本に住むミャンマー人の家族を描いた作品。
必要なシーンだけで構成されており「これ21歳で撮ったの?!」と学生時代の仲間を時間差で尊敬した。
まだ観てない人は劇場で是非!
映画『エイン』あらすじ

家族でミャンマーから移ってきて 1 年になるアウンメインは、日本人の上司に体調が悪いことも言えず無理をする父親や、新品でなく古着の服を大量にプレゼントしてくる近隣の女性に笑顔を見せる母親の姿を見て、級友たちの自分を見る好奇の眼が、偏見があるように感じてしまう。
次第に「学校」「日本人」「家族」に反発。ある日、彼は学校でトラブルを起こして父と衝突し、家を飛び出す。飛び出したアウンメインの後についてくる無邪気な弟のウィンタウンと、行く当てのない二人が目指した先は―――。
映画『エイン』作品情報

出演:フォン・テェッキン・ウィン、ピイ・ピョオ・パイン、タ・タン・モウエ、スウィ・スウィ・ウィン、光石研(特別出演)
監督:ティンダン
2006/日本語/モノラル/スタンダード/45min
制作/配給:合同会社 CHAMP ASIA 配給協力:NEGA