大阪・シネ・ヌーヴォは2025年7月26日(土)から9月12日(金)までの7週間に渡って、特集上映【戦後80年記念 決定版! 日本の戦争映画史】を開催する。
戦後80年の今夏、戦争を題材にした作品40本を8つのジャンルに分け、問題作・娯楽大作を含め、日本の多彩な戦争映画の数々が一挙上映される。
シネ・ヌーヴォからのメッセージ
1945年8月15日の第二次世界大戦における日本の無条件降伏から、この夏、戦後80年を迎える。戦後の精神だった国際協調、反戦・平和への思いが、まったく失われようとしている今、世界、そして日本はどうなっていくのか――。世界で戦争映画があまた製作されてきた。 とりわけ世界で唯一の被爆国・日本では、未曾有の原爆被害の作品から、戦場はもとより銃後の悲劇を描いた戦争映画が数多く創られ続けてきた。「戦争の悲劇を繰り返してはならない」と、一部はエンターテイメントの形を取りながらでも、後世に語り繋ごうと創られてきた戦争映画。 戦前の戦意昂揚映画から、戦争の悲劇を描き、なぜ避けられなかったのかに言及する作品、さらには戦争スペクタクル大作、アジア侵略への反省・謝罪を描いた作品など、実に多彩で膨大な戦争映画の数々。しかし、もう戦争をしてはならないと訴えたり、敵と味方の相互の和解を描くなど、そこに通底する思いは、「戦争NO!」である。かつて戦争映画は、戦争体験者によって創られてきた。亡くなった戦友、遺族らへの鎮魂の思いと、自らの戦争による深い傷跡を見つめた体験者にしか描けない映画の数々。そんな戦争から時間が経過した今も、先人たちに続き戦争を知らない世代が、風化させてはならない戦争の悲劇を連綿と創り続けている。◆戦後80年のこの夏、8つのジャンルに分け、問題作・娯楽大作を含め、日本の多彩な戦争映画40作品を一挙上映します。厳しいミニシアターの現状で、我々にとってはチャレンジの企画です。しかし、戦後80年の今だからこそ、また世界で頻発する戦争の終わりが見えない時代だからこそ、先人たちが撮ったバラエティー豊かな「戦争映画」を上映したいと思います。どうぞ皆様、ご来館くださいまして、共に戦争映画の数々をご覧いただきますようお願いいたします。
【戦後80年記念 決定版! 日本の戦争映画史】上映作品
戦意昂揚映画戦意昂揚映画
国家統制され、自由に映画が作れなかった時代、ひたすら戦争を賛美する映画が作られた。
『五人の斥候兵』(1938/監督:田坂具隆)
『ハワイ・マレー沖海戦』(1942/監督:山本嘉次郎
『サヨンの鐘』※ただし1巻が欠落(1943/監督:清水宏)
『陸軍』(1994/監督:木下恵介)
『桃太郎 海の神兵』(1945/監督:瀬尾光世)
広島・長崎
1945年8月6日広島、9日長崎。世界で唯一の被爆国となった日本。核絶滅を目指し被爆を描いた映画が作られた。
『ひろしま』(1953/監督:関川秀雄)
『TOMORROW 明日』(1988/監督・脚本:黒木和雄)
『黒い雨』(989/監督:今村昌平)
『父と暮せば』(2004/監督:黒木和雄)
“特攻隊の生還者” 須崎勝彌脚本作品
1943年、学徒出陣で海軍航空隊に招集され特攻隊となり終戦を迎えた。「カミカゼ特攻」の生還者が手がけたシナリオの数々。
『あゝ零戦』(1965/監督:村山三男)
『太平洋奇跡の作戦 キスカ』(1965/監督:丸山誠治)
『南十字星』(1982/監督:丸山誠治)
破滅への道「二・二六事件」
昭和11年(1936)に起こった陸軍青年将校によるクーデター事件。事件は鎮圧されるも、その後、軍部独裁政治となり、日本は破滅の道へと向かう。
『二・二六事件 脱出』(1962/監督:小林恒夫)
『激動の昭和史 軍閥』(1970/監督:堀川弘通)
『動乱 第1部 「海峡を渡る愛」第2部 「雪降り止まず」』(1980/監督:森谷司郎)
東宝 特撮戦争映画
特撮を円谷英二が担い、一世を風靡した東宝の戦争映画。史実をもとに数々の戦争スペクタクル映画が作られた
『ハワイ・ミッドウェイ大海空戦 太平洋の嵐』(1960/松林宗恵)
『日本海大海戦』(1969/丸山誠治)
『連合艦隊』(1981/監督:松林宗恵)
巨匠たちの戦争映画
戦争に加担した人もそうでない人も、日本映画の巨匠たちは戦争映画を残している。改めて見る巨匠たちの戦争映画
『戦争と平和』(1947/監督:山本薩夫、亀井文夫)
『風の中の牝雞』(1948/監督:小津安二郎)
『また逢う日まで』(1950/監督:今井正)
『壁あつき部屋』(1956/監督:小林正樹)
『あゝ声なき友』(1972/監督:今井正)
『ひめゆりの塔』(1982/監督:今井正)
『東京裁判』(1938→2018/監督:小林正樹)
『八月の狂詩曲』(1991/監督:黒澤明)
多彩な戦争映画の数々
戦争を題材に、アクション、コメディ、史実を探る作品など、数多く多彩な戦争映画が作られてきた。その代表的作品を一挙上映!
『二等兵物語 女と兵隊・蚤と兵隊』(1955/監督:福田晴一)
『人間魚雷出撃す』(1956/監督:古川卓巳)
『硫黄島』(1959/監督:宇野重吉)
『零戦黒雲一家』(1962/監督:舛田利雄)
『戦場にながれる歌』(1965/監督:松山善三)
『春婦伝』(1965/監督:鈴木清順)
『サンダカン八番娼館 望郷』(1974/監督:熊井啓)
創られ続ける戦争映画の数々
かつて戦争映画は戦争体験者が担っていた。戦争を体験していない世代が作る戦争映画。戦争はいけない
『ゆきゆきて、神軍』(1987/監督:原一男)
『スパイゾルゲ』(2003/監督:篠田正浩)
『火垂るの墓(実写版)』(1008/監督:日向寺太郎)
『野火』(2015/監督:塚本晋也)
『海辺の映画館キネマの玉手箱』(2020年/監督:大林宣彦)
特別上映
『YOKOSUKA1953』(2021/監督:木川剛志)
【戦後80年記念 決定版! 日本の戦争映画史】イベント情報
7/26(土)14:30 永田喜嗣さん
(戦争映画研究家・『戦争映画を解読せよ!』著者) ※『ハワイ・マレー沖海戦』の上映後に行ないます。
7/31(木)18:40 春日太一さん (映画史研究家) ※『あゝ零戦』の上映後に行ないます。
8/1(金)13:40 春日太一さん (映画史研究家) ※『あゝ声なき友』の上映後に行ないます。
8/2(土)13:45 西村正男さん (関西学院大学社会学部教授) ※『サヨンの鐘』の上映後に行ないます。
8/30(土)13:30 渋谷哲也さん (ドイツ映画研究) ※『ゆきゆきて、神軍』の上映後に行ないます。
9/6(土)16:30 日向寺太郎監督(『火垂るの墓』監督) ※『火垂るの墓』の上映後に行ないます。
料金、詳しい上映時間等は、シネ・ヌーヴォ公式HP特集ページでご確認ください。
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