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武道とeスポーツが好きで、「楽しいことだけをしたい」と考えている青年イ・ジョンドは、偶然、電子足輪を付けられた犯罪者の攻撃を受けた武道実務官を救ったことで、スカウトされ、武道実務官として仕事をすることになった。
保護観察官のキム・ソンミンと組んで、規則を守らない電子足輪の対象者に対応していく。
主人公のイ・ジョンドに映画『MASTER/マスター』(2016)、『宇宙+人』(2022)やドラマ『私たちのブルース』(2022)などのキム・ウビンが扮し、保護観察官のキム・ソンミンを『奈落のマイホーム』(2021)、『ソウルの春』(2023)やドラマ『D.P. -脱走兵追跡官-』(2021 - 2023)などのキム・ソンギュンが演じている。
また、父親役でイ・ヘヨン、犯罪者役でイ・ヒョンゴルらが出演。『ミッドナイト・ランナー』(2017)、『ディヴァイン・フューリー 使者』(2019)のキム・ジュハンが監督を務めた。
韓国映画『武道実務官』はNetflixにて2024年9月13日より配信開始。
目次
Netflix韓国映画『武道実務官』作品情報
2024年製作/109分/韓国/原題:무도실무관(英題:Officer Black Belt)
監督・脚本;キム・ジュファン 撮影:イ・テオ 編集:キム・ソンミン
出演:キム・ウビン、キム・ソンギュン、イ・ヘヨン、イ・ヒョンゴル、キム・ジョン、カン・ヒョンソク、キム・ヨハン、チャン・ワンヒョン、パク・ジョル、
Netflix映画『武道実務官』あらすじ
イ・ジョンド(キム・ウビン)はスポーツとeスポーツが大好きな青年だ。
スポーツが好きなのはなぜか勝ってしまうからで、今ではテコンドー、剣道、柔道と合わせて9段の実力者になっていた。
eスポーツは仲間たちと力を合わせて勝つのが楽しい。「人生、楽しいことだけをしたい」というのが彼の信条だった。
それでも、父の経営するチキン店の配達は喜んで手伝うという孝行息子の側面も持ち合わせている彼は、ある日、男が二人喧嘩をしている場面に遭遇する。
一人の男がもうひとりの男の体に割れた瓶を突き刺すのを見て、あわてて仲裁にはいり、瓶を振り回す男を投げ飛ばした。
男は凶悪な前科者で、大怪我をした方は武道実務官だった。警察に表彰された際、保護観察官のキム・ソンミンがジョンドに声をかけて来た。武道実務官が一人、大けがをしてしまったので、代わりの者がいる。あなたが引き受けてくれないかと彼は言う。
武道実務官とは、再犯のリスクが高いために電子足輪をつけた対象者を24時間監視し、犯罪を予防する役目を担う公的職業だ。
保護観察官と行動を共にし、保護観察官を守るという役目も担っている。テコンドー、剣道、柔道などいずれかの武道で3段以上の実力がなければなれないらしい。ジョンドはその条件をクリアしていた。
「その仕事は楽しいですか?」と問うジョンドに対して、キム・ソンミンは「やりがいがあるものだよ」と応え、ジョンドは引き受けることにした。
電子足輪の充電が弱くなるとモニターに反映され、対象者に電話して充電するようにと促すことになっている。最初は何も起こらず、ジョンドは眠気と闘うことになるが、やがて一つが点滅し始めた。
警告を無視されたので、ジョンドとソンミンは、該当者の居場所に出動。該当者は性犯罪で長らく服役していた男だ。
ソンミンがドアを叩くと、中から女性が助けを求める声が聞こえた。男は包丁を持ち、窓から脱出を試みるが、そこにはジョンドが待ち構えていた。彼は一度使って見たかったスタンガンを使って男を失神させた。
ジョンドはチキンの配達を長年してきた経験から、窓枠が取り外されているのを見て、何かあった時は窓から逃げるつもりだろうと予測したのだ。
別の対象者は、殺人で服役した男で、自暴自棄になって人を襲おうとしているところにジョンドが駆け付けた。電子足輪をしていることで差別を受け、人生をやり直せないと嘆く彼に、遠方にいるソンミンは電話でジョンドに俺の言葉を伝えてくれと男に言葉をかけ始めた。それをジョンドが伝えるとやがて男は泣き始め、ナイフを捨てた。
ソンミンとジョンドは力を合わせて、いくつかのケースを解決した。ジョンドはソンミンの優しさと志の高さに感銘を受け、ふたりの絆は深まって行った。
そんな中、悪名高い小児性犯罪者カン・ギジュンが刑期を終えて釈放され、厳重な警戒がひかれることとなった。
ジョンドは何か起こってからでは遅いと、カン・ギジュンに焦点を合わせ警戒する。しかしその裏をかいて、カン・ギジュンに接触する男たちがいた。彼らは恐ろしい計画をたてており、近づいて来たジョンドたちに罠をかけ、集団で襲って来た。
ジョンドが助けその後復帰していた武道実務官は脳死状態となり、ソンミンはクビの骨を折る重傷を負い、ジョンドも、カン・ギジュに何度も刺され、病院に担ぎ込まれる。
ジョンドたちは、男たちの邪悪な策略を止めることが出来るのだろうか!?
Netflix映画『武道実務官』感想と評価
キム・ウビンが演じるイ・ジョンドはあることをきっかけに「武道実務官」を引き受けることになるのだが、劇中、ジョンド自身が、「武道実務官」の存在を知らなかったと語っているように、一般的には聞きなれない名称だろう。
しかし、この仕事は韓国に実在していて、その仕事内容は、犯罪の再犯率が高いため電子足輪をつけられた前科者を法務部所属の保護観察官とペアになり、交代制の24時間体制で監視、問題があれば対応するというもの。映画を観る限り、逮捕権もあるようだ。
イ・ジョンドは武道に優れているが、それは生まれ持っての才能があったからでストイックな求道者というわけではない。友人たちと力を合わせるeスポーツにのめり込んでいるのも、やっていて楽しいからだ。
「楽しいこと以外はやらない」というのが彼の信条なので、保護観察官のキム・ソンミン(キム・ソンギュン)から「武道実務官」にならないかと誘われた際も、「それは楽しいですか?」と思わず尋ねている。そんな彼が、武道実務官という仕事の重要性を自覚し、被害者が出ないように奔走して体を張り、人間的に成長していく姿がテンポよく、かつ丁寧に描かれている。
映画の前半は武道実務官の仕事の具体的な実例が上げられている。電子足輪がつけられ監視されているとわかっていてなお、犯罪に走る人々を逮捕したり、電子足輪のせいで差別を受けて再出発できないことを嘆く人物も登場する。そうした人に対しては保護観察官が言葉で説得し、凶器を持って暴れる相手には武道実務官が対処する。
保護観察官と武道実務官はペアで動くので、自ずとバディムービー的な面白さが加わることになるのだが、残念なことに、途中でキム・ソンミンが大けがを負い、ペアとして動けなくなってしまう。相手があまりにも狂暴だったせいなのだが、言葉で諭すソンミンと武道と技で対処するジョンドという組み合わせをもっと見たかったというのが正直なところだ。
前半はジョンドが一度使って見たかったという「スタンガン」を凶器を振り回していた性犯罪者に使ってご機嫌になるような少しコミカルな描写もあり、ジョンドもずっとへらへらしているのだが、中盤になって、恐るべき小児性犯罪者が、出所することになってからは、ユーモラスな部分は影を潜めていく。
犯罪があまりにも胸糞悪く、出て来る人物も許しがたい奴らばかりなので、シリアスになっていくのは当然だろう。悪人たちの企みで罠にはめられ、ソンミンはクビの骨を折るという大けがを負い(神経が無事だったのは不幸中の幸い)、ジョンド自身も何か所も刺されて、病院に担ぎ込まれる。
イ・ヘヨン演じる父親が、もう危険なことはするなと、回復したジョンドを説得しようとするシーンがあるのだが、その際のジョンドの姿が印象的だ。「これまでは”武道実務官“のことも”電子足輪”のことも知らなかった。でも知ってしまった今、知らぬふりはできない」と彼は言うのだ。
そのまっすぐで、一途な思いと行動力は、キム・ジュハン監督の『ミッドナイト・ランナー』のパク・ソジュンとカン・ハヌルの熱血コンビを思い出させる。ひたむきで真摯な若者を描いた胸熱の展開はキム・ジュハン監督の真骨頂だろう。
そしてなんといっても、本作のみどころはアクションだ。悪党たちは集団でやってくるからかなり手ごわい。ジョンドはまわりにあったものを手あたり次第に投げて抵抗&攻撃を試みるのだが、その中に発酵食品の入った巨大な陶器類があり、男たちは陶器の硬さよりも、食品の辛さに悶絶するというユニークなバトルも展開する。
イ・ヒョンゴル扮する愚劣な悪党カン・ギジュは大柄で、とにかく狂暴だ。彼との一騎打ちが最大の見どころとなるのはいうまでもない。テコンドー、剣道、柔道と合わせて9段の実力者であるジョンドをもってしても、タフでなかなかくたばらない。『犯罪都市』のマ・ドンソクが現れてくれないものかと思わず願ってしまうくらいの死闘が圧巻だ。