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海外ドラマ『メア・オブ・イーストタウン / ある殺人事件の真実』あらすじ・感想 / ケイト・ウィンスレットが悩める刑事を演じる

HBO制作の『メア・オブ・イーストタウン / ある殺人事件の真実』は、7話からなるクライムドラマ。本国・アメリカでは放送が始まるや大きな反響を呼び、最終話では歴代最高視聴率を記録。

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第73回エミー賞では主演女優賞(ケイト・ウィンスレット)、助演女優賞(ジュリアンヌ・ニコルソン)、助演男優賞エヴァン・ピーターズ)の三冠に輝いている。

日本では一部の熱心なファンから高く評価されているものの、まだこの作品の存在を知らない方も多いのではないだろうか。

日本ではU-Nextで独占配信されている。是非、ご覧になっていただきたい秀作だ。

 

 

目次

 

海外ドラマ『メア・オブ・イーストタウン / ある殺人事件の真実』の作品情報

【放送日】2021年 4 月 18 日~ 5 月 30 日(全7話)日本ではU-NEXTで独占配信

【原題】Mare of Easttown 
【製作国】アメリ
【演出】クレイグ・ゾベル
【制作・脚本】ブラッド・インゲルスビー
【キャスト】ケイト・ウィンスレット、ジュリアンヌ・ニコルソン、ジーン・スマート、アンガーリー・ライス、エヴァン・ピーターズ、ソシー・ベーコン、デヴィッド・デンマン、ニール・ハフ、ジャームズ・マッカードル、ガイ・ピアースケイリー・スピーニー、ジョン・ダグラス・トンプソン、ジョー・ディペット、ジャック・マルハーン、ルビー・クルーズ

 

『メア・オブ・イーストタウン / ある殺人事件の真実』のあらすじ

平穏な田舎町イーストタウンで発生した少女惨殺事件。刑事・メアは捜査にあたるが、誰もが容疑者となりうる状況で事件は難航する。父親、元恋人、親友、神父…少女を取り巻く住民たちの想いは絡みあい、やがて事件は思いもよらない展開を見せていく。待ち受ける衝撃の"真実"とは…。(引用元:U-NEXT)

 

『メア・オブ・イーストタウン / ある殺人事件の真実』の感想と解説

ペンシルベニア州の小さな荒涼とした町イーストタウンで射殺された女性の遺体が発見される。遺体は地元の高校生、エリンと判明。彼女は殺された日の夜、元ボーイフレンドであり彼女の赤ちゃんの父親であるディランと現在つきあっているブリアナから暴行を受けていた。そのトラブルのあと、何者かに殺害されたのだ。

イーストタウンでは1年前に女性が失踪して行方不明となっており、母親が警察の怠慢を訴えていた。マスコミや住民からの突き上げを受ける中、地元警察の部長刑事であるメア(ケイト・ウィンスレット)は、新たな事件の捜査を、群の警察から派遣されてきたコリン・ザベル(エヴァン・ピーターズ)とともに行うこととなる。

ディランが犯人だと思い込んだエリンの父親はディランを拉致し森に連れ込み、逃げ出したディランに向けて発砲。翌日、自首してくる。ディランは大怪我を負ったものの命に別状はなく、エリンの殺害時刻にはブリアナといたとアリバイを主張。

エリンが最後に連絡をとっていたと判明した教会の司祭など、何人かの容疑者が浮かび上がってくるが、皆、決め手はない。

 

そうした犯人探しのミステリ的な面白さもさることながら、イーストタウンの住民の非常に親しい関係が、ドラマを一層興味深いものに押し上げている。  

 

町に長年住み続けている人々の関係は非常に濃く、親戚も多くが同じ町に住んでいる。誰もが昔からメアと親しくつきあってきた人々ばかりだ。

高い煙突のついたレンガ造りの家々は密接に建てられていて、自ずと住民の接近度は高くなる。住民の多くは労働者階級に属していて、それぞれの家庭で様々な問題を抱えている。

 

メア自身、成人した息子が自殺するという苦しく痛ましい過去を背負っている。息子が遺した幼い孫のチック症が父親の遺伝ではないかと心配し、また、薬物中毒者であった息子のガールフレンドが更生して親権を主張してきていることに複雑な想いを抱えている。

息子の自殺は家族を崩壊させ、夫とは離婚。その夫は、あろうことか家のすぐ側に住居を構え、再婚しようとしている。そうしたすべての事がメアにのしかかって来る中、彼女は捜査を続けなければならない。

 

殺されたエリンの家も崩壊しており、暴力的な父親の抑圧を受けながら、授かった子供の中耳炎の手術代に頭を抱えていたという。

行方不明になっている女性もまた、麻薬や売春を行い、心を病んでいたという。小さな田舎町で、家庭の事情により心に屈託を抱え、挙げ句に犠牲になる若い女性たちの姿が浮かび上がってくる。

 

こうした人間ドラマの部分が非常にリアルに描かれていて、本筋のミステリと鮮やかにリンクしていく様が圧巻である。部長刑事としての責任感と最愛の息子を失った心の苦しみを抱えた厳しい顔つきの中に、ふと人間の暖かさを垣間見せるケイト・ウィンスレットの演技が素晴らしい。

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